日本の原風景が残る町並みは、日本人だけでなく、外国人をも感動させます。駐日リトアニア共和国特命全権大使のオーレリウス・ジーカスさんは、島根県で国の登録有形文化財に指定された旅館に宿泊。あるジブリ映画を彷彿したといいます。どんな映画だったのでしょうか。

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特急やくもに乗車し島根県へ

 家族との旅行や、仕事で日本各地を訪れ、その様子を積極的に発信しているオーレリウスさん。前日には山陰を移動するため、6月に運航終了が予定されている、381系特急やくものリバイバル塗装車両の国鉄カラーに乗車したことをうれしそうに、X(ツイッター)アカウント(@AurelijusZykas)で報告しています。

 そして、米子駅に到着後、向かったのが日本の原風景が残る、美しい港町です。

「美保、おはようございます! Labas! 昨夜、美保に着きました 山と海に挟まれた町で、原型の日本そのままです」

 オーレリウスさんが到着したのは、島根半島の東端、美保関です。神様と海を繋ぐ「聖なる岬」とも呼ばれており、同地の美保神社には「古事記」の「国譲り神話」に登場するコトシロヌシノカミが祀られています。

 そんな歴史深い町で、老舗割烹旅館に宿泊したオーレリウスさん。「文化財の旅館も、『千と千尋の神隠し』にいるような感じで、湯婆婆が出てきそうですよ」と、その感動を表現しています。

 オーレリウスさんが宿泊したのは「美保館」とみられ、明治38年に建てられた、築120年に迫る旅館です。現在も宿泊できる旅館としては、国の登録有形文化財(建造物)に登録されるのは、島根県で初めて。重厚で複雑な構造と建築美は多くの宿泊者を魅了しています。

 吹き抜けになった2階から1階を見下ろすように撮影した旅館内の様子や、品数の多い豪華な朝食の和定食、そして障子が開かれた小部屋の中央に座る写真を投稿したオーレリウスさん。障子には、高浜虚子と徳川夢声の俳句が書かれており、風情あふれる旅館内の様子が伝わってきます。

 この投稿のリプライ(返信)には、「わぁ〜ほんとに素敵!」「障子越しの灯りがやわらかく、ゆったりと寛げそうな旅館ですね」「大使に教えていただく日本の名所の何と多いことか!」「旅館のサイトの写真を見ると、本当に千尋やカマ爺、湯婆婆が出てきそうです」「『美保、おはようございます』。誰? と思ってしまいましたなどの声が寄せられています。

 オーレリウスさんはその後、雨の町中を散策した様子も紹介。「幻想的で、タイムスリップみたいです。時代劇の中にリトアニア大使もいますね」と、すっかりこの町の虜になってしまったようです。

Hint-Pot編集部