画像は夜の東京ドーム

 

6月28日  ●2−3x巨人(延長10回)(東京ドーム)
広島 000 010 001 0・  2
巨人 000 020 000 1x ・3

広島通算68試合36勝28敗4分け(首位キープ、2位阪神に3差)
18時1分開始・3時間22分、41,532人
相手先発 戸郷7回3安打1失点
広島本塁打 堂林1号ソロ
巨人本塁打 丸5号ソロ
広島登録抹消 −

広島スタメン
一番センター秋山
二番ライト野間
三番レフト上本
四番ショート小園
五番キャッチャー坂倉
六番ファースト堂林
七番サード田中
八番セカンド菊池
九番ピッチャー床田6回103球8安打2失点
黒原
コルニエル
森浦
●栗林(31試合2敗20S)

 

「上げてから、すごい遅いでしょ!ずーと…」(日本テレビ解説者・篠塚和典さん)

「カッ!!!」(渇いた打球音)

「ライトへ!打球が伸びていってぇ…延長戦を制する、丸の今シーズン第5号〜!」(実況アナ)

3時間22分の接戦のエンディングは、巨人サヨナラ勝ち、だった。打球を振り返った栗林は「あっ?」と一度開いた口をすぐに閉じると、静かにマウンドを降りて行った。

この結末はもはや必然だった。



栗林は6日前のバンテリンドームナゴヤで2点リードの九回、2四球に矢野のエラー絡みで1点を失い30球投げていた。野手では野間、投手では栗林。ふたりは開幕前、かなり深刻な体調不良と向き合っていた。だから野間は休み休みの出場になっている。栗林もそろそろ勤続疲労を起こしかけている。

加えて4月半ばから一番に定着した丸が巨人打線の牽引車となり、この日も床田から「お手本のような」(篠塚和典さん)左前打、中前打を放つと五回の第3打席もあわや、という当たりのセンターフライ。七回の第4打席では、安定した投球が続く黒原からも左前打を放っていた。



床田、戸郷の両先発で始まった試合は予想通りの接戦になり、九回に相手のバッテリーエラーで広島が追いついて2対2で延長戦へ。

延長十回、栗林が先頭の代打萩尾を2球で三ゴロに打ち取ると、BS日テレの放送ブースでは次打者の丸に向けてこんな会話が交わされた。

「ボールを見る時間が長いんですよね、トップから打ちにいく間に、右足のつき方がすごく遅いでしょ」(篠塚和典さん)

「見る時間が長い?丸の右足?」

残念ながら実況アナは解説者コメントをまったく理解していないようだった。しかし見る人が見ればそれは明らかで、過去、栗林との対戦成績で13タコだった丸は、初球のカットボールと2球目のカーブを見送ったあと、3球目の外角カットボールを振り抜いたのである。



ヒーローインタビューの丸は「カープに勝たないことには、絶対に優勝できないと思っていますんで…」と敵意をむき出しに?した。昨季のチーム対戦成績が8勝17敗では、それも当然か…

打たれた新井監督は「丸はちょっと手が付けられないような感じになっている」と話したが、ふたりは前々から特別な関係にあり、それはたぶん今も変わらない。

丸にはカープファンから異様な誹謗中傷を受けた苦い思い出がある。その状況はかつて「裏切者」としてバッシングされ続けた「カープ四番・新井貴浩」のそれと同じだった。



カープ球団の姿勢は”丸叩き”を助長した。リーグ3連覇の功労者である丸が巨人にFA移籍を表明する際、会見の席すら設けなかった。

2018年11月29日、3年連続4度目のベストナイン、6年連続6度目のゴールデングラブ賞受賞、そして2年連続のMVPに輝いた丸は、マツダスタジアムの暗い関係者駐車場で囲み取材を受け、番記者にこう言った。

「新井さん(新井監督はこの年で引退)から”移籍するのは寂しいけど、オレはまあお前の味方だからどこに行っても応援しているし頑張れと…”と」そう伝えられたと。

それゆえ首位を行く新井カープの前に、丸は今後も立ちはだかろうとするだろう。この先も丸と対峙する者はこの話を胸に仕舞い、心して抑えにかかる必要がある、ということになる。

それにしても…巨人はサヨナラ負け翌日に本拠地でサヨナラ勝ち、広島はマツダスタジアムサヨナラ勝ち翌日に敵地でサヨナラ負け…野球に筋書はないのか、あるのか…(ひろスポ!取材班&田辺一球)