歌手で俳優の佐川満男(さがわ・みつお)さんが今月12日未明に、胆のう炎のため死去したと20日、所属事務所が発表した。84歳だった。葬儀は故人の意向で、すでに妻ら家族葬で執り行われたという。

 佐川さんは、公開中の映画「あまろっく」(中村和宏監督)に出演。笑福亭鶴瓶演じる近松竜太郎が営む鉄工所のベテラン職人・高橋鉄蔵役を務めた。訃報を受けて、遺作となった同作の公式Xはこの日、「和気あいあいと撮影を楽しんで、現場を和ませて頂いた佐川さん、キャスト・スタッフ一同、謹んでご冥福をお祈りします」と追悼した。

 同作の中村監督は「私にとっては恩師でもある名優佐川満男さんが、4月12日にこの世を去られました。奇しくも先行上映初日でした」と沈痛な胸の内を吐露。佐川さんは晩年、体調を崩し入退院を繰り返していた。監督は「今回、佐川さんにこの映画のオファーをした際、初めはご自身の高齢を理由に謙虚にお断りされましたが、最終的には『これを最後の仕事にする』という決意を示してくださいました」と明かした。

 続けて、「佐川さんの献身と情熱は、撮影中も変わることがなく、彼のプロフェッショナリズムと温かな人柄は、キャスト、スタッフ全員にとって大きな支えとなりました」と感謝をつづった。

 ◆中村監督コメント全文

 映画「あまろっく」が全国公開され、多くの皆様にご覧いただいている中、とても悲しい出来事がありました。本作で鉄蔵役を好演していただいた、私にとっては恩師でもある名優 佐川満男さんが、4月12日にこの世を去られました。奇しくも先行上映初日でした。

 今回、佐川さんにこの映画のオファーをした際、初めはご自身の高齢を理由に謙虚にお断りされましたが、最終的には「これを最後の仕事にする」という決意を示してくださいました。

 佐川さんの献身と情熱は、撮影中も変わることがなく、彼のプロフェッショナリズムと温かな人柄は、キャスト、スタッフ全員にとって大きな支えとなりました。

 佐川さんが遺された作品(映像 音楽 絵画)を通じて、彼の芸術に対する愛と情熱をこれからも多くの人々に伝え続けていくことが、私たちの使命だと信じています。

 映画「あまろっく」の公開が、佐川さんへの最もふさわしい追悼となるよう、心より願っております。

皆さまには、彼の遺作を心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。