◆JERA セ・リーグ 阪神2―0巨人(17日・甲子園)

 打ち出の小づちのように、巨人・門脇誠内野手(23)が安打を重ねた。2点を追いかける7回2死。桐敷の初球、外角高め147キロ直球をはじき返した。快音を響かせた打球は鋭く三塁線を破り、左翼線への二塁打になった。昨年8月6日の広島戦(マツダ)以来、プロ2度目の1試合4安打。「過程が自分の中でしっかりやれている。そこを評価したい」と冷静に自己分析した。

 Hランプをともし続けた。まずは初回1死一塁、伊藤将のカットボールを流し打って、左前安打。3回2死では直球を中前に運び、5回1死ではカーブを引っ張って右前安打とした。3方向にクリーンヒットを連発し、「丁寧に逆方向意識で入りながらもいろんな引き出しでやれた」。4試合連続安打で打率はリーグ2位の3割4分4厘に急上昇した。

 進化を証明する快音だった。昨季は126試合で打率2割6分3厘、3本塁打、21打点だったが、阪神戦はセ・リーグのカード別最低となる打率1割5分7厘。防御率リーグトップの投手陣に抑え込まれていた。「去年とは自分もしっかり変えたいという思いでやってきた」。苦手意識を払拭し、鮮烈な印象を与えた。

 就任早々に遊撃のレギュラーとして指名され、攻守ともに主軸として戦う2年目。オープン戦は21打席連続無安打など、打率は1割8分と苦戦した。打撃フォームの修正や肉体改造に励んできた中、3月は実戦に落とし込むために時間を割いた。苦しい時間を過ごしたものの、「いろいろと試すこともできた」。開幕へと照準を合わせ、結果を残し続けている姿がたくましい。

 変化を恐れない姿勢が好結果につながっている。「先週と今週では試合前にやっていることも違います。ルーチン化したくない」。試合前のトレーニングや準備も日々、試行錯誤。「体の状態にも合わせつつ、もっといいものがないか」と考え、最善策を探し続けている。

 7試合連続で3番で出場。岡本和、坂本につなぐキーマンとして存在感が増している。「4番と5番につなぐ。それだけの意識でやっています」。進化する門脇が躍動すればするほど、V奪還への道が開けてくる。(宮内 孝太)