◆JERAセ・リーグ 阪神2―0巨人(17日・甲子園)

 喜びに沸く甲子園で、岡田監督はぼやいていた。試合後の整列時。平田ヘッドコーチに苦笑いで言葉を交わした。「3連発の日にね、3連打だけで終わった」。伝説のバックスリーン3連発から39年。当時と全く同じ「4月17日の水曜日」の巨人戦で今季3度目の完封勝利を挙げたが、物足りない。5番打者で3発目を放った虎将と7番打者だった参謀は、薄氷の勝利をかみしめた。

 0―0の3回2死から近本と中野が連打で一、二塁の好機をつくり、森下が先制&決勝の中越え2点適時二塁打。しかし、ヒットはこの3本だけ。超低空飛行を続ける打線は3点目を奪えなかった。球団では12年ぶりの9試合連続2得点以下。指揮官も「2点しか入らない」と渋い表情だ。

 投手陣の踏ん張りが勝利を引き寄せた。先発の伊藤将は、6回6安打無失点の力投で今季2勝目。2回に無死三塁、4回にも無死満塁の大ピンチを招いたが、冷静に「低く投げられた」と粘り腰でスコアボードに「0」を並べ続けた。救援の桐敷、岩崎、ゲラも無失点リレー。虎将は「守り勝ち。こんだけ打てないんですけど、今この成績にいてるっていうのはピッチャー陣の頑張り」とたたえた。

 借金を1に減らし、3位に浮上。攻撃陣が目覚めれば上昇気流に乗れそうだ。伝説の39年前に監督を務めていた吉田義男氏を超える、球団歴代単独2位の監督通算485勝目にも「まだ試合あるんで、あまり関係ないです」と岡田監督。連覇の志を果たすため、また次の1勝に全力を注ぐ。(中野 雄太)