◆NHKマイルC追い切り(1日・美浦トレセン)

 第29回NHKマイルC(5日、東京・芝1600メートル)の追い切りが1日、東西トレセンで行われた。桜花賞2着の2歳女王、アスコリピチェーノはクリストフ・ルメール騎手(44)=栗東・フリー=復帰も追い風に必勝を期す。

 2歳女王が過去最高の仕上がりを見せている。アスコリピチェーノは美浦・Wコースでシアブリス(3歳未勝利)と併せ馬。直線ではスムーズに加速すると、1馬身半追走した相手に馬なりのまま楽々と併入した。ラスト1ハロン11秒1はこの日3番目に速い時計。それを余裕の手応えで記録するのだから、体調の良さに疑いの余地はない。黒岩調教師も「しっかり併せ馬ができて良かった。非常に精神状態も食欲も安定しています」と自信をのぞかせた。

 前走の桜花賞でデビュー4戦目にして初の敗北。牝馬クラシックの栄冠には3/4馬身届かなかった。トレーナーは「預かったときから桜花賞を目標にしてきたので、悔しい思いです」と唇をかむ。敗戦後は、2冠目ではなく走り慣れたマイル路線を選択した。「デビュー当初からNHKマイルCかなと思っていましたが、改めて決めました。2400メートルは挑戦になるし、結果の出ている距離ということで」と経緯を説明。2つ目のG1タイトルを勝ち取るため、堅実なルートを選んだ。

 もちろん、決して楽な道ではない。2歳王者ジャンタルマンタルを筆頭に今まで以上にライバルは手ごわいが、今回は心強い味方がついている。3月30日にドバイで落馬したルメールが、レース当日に復帰。アスコリピチェーノと新馬戦以来のコンビを組むことが1日、発表された。NHKマイルC2勝を挙げるナンバーワンジョッキーのエスコートは、まさに鬼に金棒。トレーナーは「ルメールに乗ってもらうにしても、馬の状態が整っていないとだめ。今回はしっかり整ってくれたし、強い力を見せてほしい」と、静かに力を込めた。初の敗戦を糧にして、逆襲に燃えるクイーンの復権は近い。(角田 晨)