◇高校野球◆春季静岡県大会 ▽準決勝 浜松開誠館0−1静岡(3日・草薙)

 準決勝が行われ、静岡が2年ぶり、加藤学園が2年連続で春季東海大会(18日開幕・岐阜)進出を決めた。静岡は昨夏甲子園出場の浜松開誠館を1―0で下し、6年ぶりの優勝に王手をかけた。谷脇健心投手(3年)が球数93球で完封し、自身2度目のマダックス(100球未満で完封)を達成。決勝は5日午前11時半から草薙球場で行われる。

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 静岡高の谷脇が浜松開誠館に、今春つかみ取った背番号1にふさわしい投球を見せた。9回2死、相手の4番・加藤蔵乃介主将(3年)をフォークで二ゴロに仕留めると、両手を広げて喜んだ。93球のうちボールと判定されたのは22球。「自分が目指していたコントロールのいいピッチングができた」。180センチ右腕は振り返った。3回に先制打を放った女房役の石垣拳捕手(3年)から「お前、すごいな」と話しかけられると、満面の笑みを浮かべた。

 立ち上がりはピンチを招いた。初回、先頭打者に右前打を許した後に犠打で送られ、次は左前打。わずか3球で1死一、三塁となって「焦った」が、二ゴロ併殺打で仕留めた。その後、昨夏V打線に内外角を意識した投げ分けで、無四球、5安打。奪三振7、フライアウト6、内野ゴロ12(併殺2、犠打4)。1点差の展開が続いたが「調子がすごいよかったので自信をもって投げてました」と、プレッシャーはなかった。公式戦初先発した3月20日の春季予選の焼津中央戦での99球でのマダックス以来、2度目の達成。「テンポよく抑えられてよかった」とうなずいた。

 春に自身初の背番号1となった。エースナンバーを昨夏と昨秋は同級生の中野桜佑(今大会は背番号3)がつけていた。「同い年に自分より評価が高い投手がいたのは悔しかった」。昨秋後から股関節など体の動きを意識したトレーニングに取り組み、直球の質を向上させた。昨秋、最速135キロだった球速を冬前には139キロに更新し、春大会では141キロに伸ばした。

 池田新之介監督(46)は「谷脇は気持ちが入っていた。エースとして自信がつく内容だった」と、エースという言葉を背番1に対して使った。東海大会に向け、谷脇は「自分のピッチングを貫いていきたい」と意気込んだ。(伊藤 明日香)

 ◆マダックス 制球力を武器にブレーブスなどで通算355勝を挙げたグレッグ・マダックスが、100球未満での9回完封を13度飾ったことにちなみ、野球作家のジェイソン・ルークハートが提唱した造語。