メジャーで複数年連続して活躍し続けるのは、本当に難しい。シーズンの成績をもとにオールスターチームを選ぶという、2019年から始まった表彰「オールMLBチーム」で、昨年選ばれた顔ぶれの今をチェックしてみたい。

 「オールMLBチーム」は、ア・ナ両リーグ関係なく先発投手(5人)、救援投手(2人)、捕手、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、外野手(3人)、DHの計16人で1チームが組まれ、「ファーストチーム」と「セカンドチーム」を選出している。ファン投票が50パーセント、メディア関係者の投票が50パーセントの割合で集計され、「ファーストチーム」に入るのは非常に名誉なこととなる。

 まだ5年しか行われていないが、「ファースト」に3年連続入った選手は1人もいない。複数人選ばれる投手を除き野手での2年連続受賞は、捕手のS・ペレス(ロイヤルズ)、二塁のラメーヒュー(ヤンキース)、遊撃のタティス(パドレス)、3人選出の外野でもトラウト(エンゼルス)、ジャッジ(ヤンキース)、ベッツ(ドジャース)、ソト(当時ナショナルズ、現ヤンキース)を入れて合計7人しかいない。

 大谷翔平は、2021年にDHで「ファースト」、先発投手で「セカンド」、2022年は先発投手で「ファースト」、DH部門で「セカンド」、そして2023年は投打で「ファースト」に選ばれた。つまり、先発投手では2年連続「ファースト」を受賞しているが、DHは21、23年に選ばれ、22年はアルバレス(アストロズ)に譲っている。複数年連続してハイレベルの成績を続けるのが難しいかの証明でもある。

 昨年の「ファースト」受賞者の5月9日(日本時間10日)時点の今季成績を出すと次のようになる。

【捕手】ラッチマン(オリオールズ)3割1分8厘、5本塁打

【一塁】フリーマン(ドジャース)3割1厘、3本塁打

【二塁】セミエン(レンジャーズ)2割8分6厘、7本塁打

【三塁】ライリー(ブレーブス)2割4分5厘、3本塁打

【遊撃】シーガー(レンジャーズ)2割3分、3本塁打

【外野】アクーニャ(ブレーブス)2割6分1厘、2本塁打

    ベッツ(ドジャース)3割4分6厘、6本塁打

    キャロル(ダイヤモンドバックス)2割6厘、2本塁打

【DH】大谷翔平(ドジャース)3割5分5厘、11本塁打

 大谷、ベッツが別格の活躍。ラッチマンも好成績だが、昨年ナ・リーグMVPのアクーニャ、同新人王キャロル、ア・リーグMVP投票2位のシーガー、3年連続30本塁打越えのライリーらが苦しんでいる。

 実は野手以上に切ないのは、投手陣だ。

【先発】コール(ヤンキース)

    ゲーレン(Dバックス)

    スネル(当時パドレス、現ジャイアンツ)

    ストライダー(ブレーブス)

    大谷翔平(当時エンゼルス、現ドジャース)

【救援投手】ヘイダー(当時パドレス、現アストロズ)

      バティスタ(オリオールズ)

選出された投手7人のうち先発のコールの登板はまだ無く、大谷にストライダー、そして救援のバティスタはトミー・ジョン手術で今季の登板はほぼ絶望。移籍組も厳しく、スネルは負傷者リスト入り、へーダーも散々だ。ゲーレンがただ1人4勝、防御率2・84と奮闘している。

 まだシーズンは5分の1強終わったばかりだが、活躍組がいる一方で不振や故障に泣いている投手がいるなど両極端。彼らが今後どうなるか見守りたい。

 そして目が離せないのは、大谷とともにド軍を引っ張るベッツ。一昨年、昨年と外野で選出されたが、今年は、遊撃と二塁を掛け持ちしながらの好成績。初の「ファーストチーム」3年連続受賞に期待がかかる。

(蛭間 豊章・ベースボールアナリスト)