ゴールデンウィークの連休に、新しいPCを一式組んでみようという人も多いのではないだろうか。厳しい円安が継続する中で、なかなかPCパーツを購入するタイミングが難しいが、思い立ったら吉日だ。

 前回は予算30万円でゲーミングデスクトップPCを生成AIに聞いたが、今回は自作PCではやっているピラーレスケース(角に支柱がなく、内部システムを見ることができるケース)をベースにしたビジネスPCを組んでもらった。

 手元にPCやスマホさえあれば、時間も場所も問わずいつでも回答してくれるエージェントに投げかけた質問は下記の通りだ。プロンプト(呪文)や問い合わせるタイミングなどによって回答は一定ではないので参考程度に見てほしい。

・あなたはPCショップ専門店の店員です。

・税込みの予算20万円以内で最新のビジネスPCを作ってください。

・必ずピラーレスケースを採用してください。

・利用したパーツの型番(CPU/GPU/メモリ/ストレージ/マザーボード/電源ユニット/ケース/OS)もリスト化してください。

・お勧めのポイントも教えてください。

●生成AIサービスを利用してビジネスPCのパーツ選定を指南

 今回利用したのは、Microsoft Copilot(Web版)/Perplexity/Gemini(旧Google Bard)/ChatRTXの4つで、いずれも無料で利用できる。

 Googleの対話型AIサービス「Gemini」は従来Google Bardと呼ばれていたもので、ここではGemini Proのモデルを使った。また、NVIDIAの「ChatRTX」(旧Chat With RTX)は、GPUにGeForce RTX 30以降/NVIDIA RTX Ampere or Ada世代を採用したPCが必須になるが、ローカル環境でAIチャットボットを利用できるのがポイントだ。

 最新バージョンではGoogleのLLM「Gemma」、オープンソースのバイリンガルLLM「ChatGLM3」、OpenAIの画像認識AIモデル「CLIP」、音声認識AIモデル「Whisper」といったAIモデルが新たに追加可能になった。

 各AIモデルはプルダウンメニューでChatRTXの画面からダウンロードして追加できる他、一度インストールすればプルダウンメニューで利用AIモデルを選べるので便利だ。

●Microsoft Copilot

お勧めポイント 税込み20万円以内で最新のビジネスPCの構成を提案します。ピラーレスケースを採用し、各パーツの型番も記載します。

・CPU Intel Core i5-11600Kは、高性能なビジネス用途に適しています。また、統合グラフィックスが含まれているため、別途GPUを購入する必要がありません。

・メモリ 16GBのRAMは、複数のアプリケーションを同時にスムーズに実行するのに十分な容量です。

・ストレージ Samsungの970 EVO Plusは、高速な読み取り/書き込み速度を提供するNVMe M.2 SSDです。これにより、システムの起動時間とアプリケーションのロード時間が大幅に短縮されます。

・ケース Fractal Design Define 7 Compactは、ピラーレスデザインを採用しており、内部の空間効率が良く、エアフローも優れています。

●Perplexity

お勧めポイント

・最新の第13世代 Intel Core i7-13700Kプロセッサを採用し、高い処理性能を実現

・NVIDIA GeForce RTX 3060 Tiグラフィックスカードにより、ビジネス用途に十分な描画性能を発揮

・32GBのDDR5メモリと高速なNVMe SSDを組み合わせ、快適な動作を提供

・大容量の2TBハードディスクドライブを搭載し、ストレージ容量も十分

・Antec Constellation C8は、ピラーレスデザインで美しい内部を見せつつ、優れた冷却性能も備えている

・高品質なCorsair製電源ユニットを採用し、安定した電力供給を実現

 このPC構成は、ビジネス用途に最適な性能と機能を備えつつ、予算内におさまる設計となっています。

●ChatRTX

 ChatRTXは複数のAIモデルを利用できるが、Mistral(Mistral 7B int4)とLlama2(Llama2 13B int4)の回答を見ていく。

ChatRTX(Mistral)

お勧めポイント このパーツの組み合わせでは、高速なパーティクルエフェクト、高速ビデオエディター、高質のゲームを実現できます。また、このパーツの組み合わせでは、高品質のライトトレーシングを実現できます。

ChatRTX(Llama2)

お勧めポイント これらのパーツを使用すると、要求の厳しいタスクを簡単に処理できる強力で信頼性の高いビジネスPCを手に入れることができます。

 具体的な推奨事項については、ビジネスで使用する上で最も重要なコンポーネントであるCPUとGPUを優先することをお勧めします。RAMとストレージも重要ですが、予算内に収める必要がある場合は、これらのコンポーネントを少し節約できます。マザーボードと電源は、システムの全体的なパフォーマンスと信頼性に影響を与える可能性があるため、重要です。

●Gemini

お勧めポイント 最新のピラーレスケースを採用した高性能なビジネスPCを提案させていただきます。

システム構成

・CPU 最新世代のIntel Core i5-13500を搭載し、高い処理能力とマルチスレッド性能を実現します。

・マザーボード ASUS TUF Gaming B760M-Plus WiFiは、最新規格であるPCIe 5.0に対応し、将来性も考慮した構成です。WiFi 6Eや2.5GbE LANも搭載し、高速なネットワーク接続を実現します。

・メモリ DDR4-3200 16GBの高速メモリを搭載し、マルチタスクやデータ処理を快適に行えます。

・ストレージ NVMe SSD 500GBを搭載し、高速な起動とデータアクセスを実現します。

・グラフィックスカード NVIDIA GeForce RTX 3050を搭載し、ビジネスだけでなく、クリエイティブな作業にも対応できます。

・ケース Fractal Design Meshify 2 TGは、優れた通気性とスタイリッシュなデザインを兼ね備えた人気のピラーレスケースです。静音設計も採用しており、オフィスの環境にも適しています。

・電源ユニット Corsair RMx (2021) 650W 80+ Goldは、80PLUS Gold認証を取得した高効率で静音性の高い電源ユニットです。

システム構成の利点

・高い処理能力 最新世代のCPUと高性能なグラフィックスカードを搭載し、高い処理能力を実現します。

・高速なストレージ NVMe SSDを搭載し、高速な起動とデータアクセスを実現します。

・拡張性 将来の拡張性も考慮した構成です。

・静音性 静音性の高いパーツを採用し、静かなオフィスの環境にも適しています。

・スタイリッシュなデザイン スタイリッシュなデザインのピラーレスケースを採用しています。

●生成AIごとのカラーは出たが精度はいまひとつ

 総じて言えるのは、ピラーレスケースをピックアップできておらず(Perplexityを除く)、ChatRTX(Llama2 13B int4)ではOSをWindows 10 Proとしたのはいいが、「これは最新バージョンの Windows であり、セキュリティの強化、生産性の向上、他の Microsoft 製品とのシームレスな統合など、ビジネスでの使用に必要なすべての機能を提供します」とのことだった。

 これは無料のChatGPT(GPT 3.5)も同様で、CPUにRyzen 7 5800Xを選んだのはいいが、GPUに「統合GPUを搭載(ビジネスPCなので独立GPUは不要)」とあるのはいただけない。

 それぞれで提案されたパーツ構成は、いずれも最新世代ではない“枯れた”(特にCPUやGPU)ものが多く、20万円をフルに使い切った構成が少なかった。ビジネスPCという“フワッとした”くくりも、現状の生成AIはあまり得意ではないのだろう。前回のゲーミングデスクトップPCのようにとがったチョイスは見られなかったが、生成AIごとにカラーが出たとも言える。

 そこで、最後は筆者なりに多少こだわったオススメパーツを下記にまとめた。

 ピラーレスケースの新モデルであるCorsairの「6500X Tempered Glass」を中心に、今Amazonで購入可能で予算20万円でできる限り高いパフォーマンスや快適な使い勝手、そしてホワイトカラーのパーツをまとめてみた。この構成なら、AIを使ったビジネス用途でも、ゲーミングでもそれなりに楽しめるはずだ。

 せっかくの連休中ということもあり、アキバのPCショップで店員さんとキャッチボールしながらのパーツ選定をできればいいのだが、まずは生成AIを活用して、理想の自作PCを組み上げるのも一興だ。