自然の価値に気付かせてくれる豊かな時間がある。岩手県西和賀町のカタクリの会代表、瀬川強さん(70)と陽子さん(64)夫妻が1991年1月から月1回続けてきた奥羽自然観察会。豊富な知識、深い観察力が多くの人を引きつける。一年で最も輝く新緑の春を体感した400回目を振り返った。

 「芽吹きの時期が違うからこそ、今だけの春紅葉です」。山裾のブナやケヤキ、イタヤカエデの鮮やかなグラデーションを指し示す強さん。県内外の53人が4月28日、無地内カタクリ群生地を歩いた。

 33年4カ月の参加者は延べ9294人。孫を連れて解説した陽子さんも「節目だから、懐かしい顔もあってね」とほほ笑む。山菜やキノコを持ち寄り「これは何」と問いかける子どもたち。一つ一つの動植物の名前を知り、足元から自然と向き合う。

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 奥羽自然観察会は月1回開催。401回目は12日に「夏の渡り鳥」をテーマに同町槻沢のツキザワの家周辺で開く。問い合わせは瀬川強さん(0197-82-3601)へ。