値下げの本気度は?

 ドン・キホーテではじまっている値下げ価格「マジ価格」とはいったい……? 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 景気回復の兆しが見えない状況で、今春も食料品の値上げが止まりません。4月にはハムやソーセージなどの畜産製品や冷凍食品を中心に2806品目の値上げ。今後も原材料高や円安を理由とした値上げラッシュが秋以降も続くと予想されています(帝国データバンクの調査より)。

 あー、正直うんざりな状況。スーパーマーケット研究家の立場としても、楽しい提案がしにくくなっているのは残念なことです。しかしそんな中で、気になるニュースがありました。

 それは、ドン・キホーテが値下げをガンガンやっているということ。えっ、いったいどういうことなのでしょうか!?

 どんな商品がどのくらい値下げになるの? お客が喜ぶレベルの値下げなのか? いろいろ疑問が生まれるものの、説明を聞いてもよくわからなかったので、実際に店舗に行って確認してみることにしました。

 そこで今回は、ドン・キホーテが実施している斬新な値下げ作戦「マジ価格」についてレポートしてみたいと思います。

これまでになかった値下げ戦略「マジ価格」

 「マジ価格」の印を発見。アプリ会員であれば誰でも値引きをしてもらえます※1家族につき1点限り 今回の値下げ作戦とは、ドン・キホーテが2023年11月からスタートしている「マジボイス」という新機能に連動した値下げ企画「マジ価格」のこと。

 ドン・キホーテ、MEGA ドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなどで使えるオリジナル電子マネー「majica(マジカ)」の公式アプリ内で顧客が商品評価を行い、評価の高かった商品のうち厳選されたアイテムを期間限定で値引きするという企画になっています。

 つまりお客さんたち(無料で入会可能なアプリ会員)の好きな人気商品が、期間限定で安くなるということ。

 このコンセプトは他スーパーでも聞いたことがないほど斬新であり、本当にそんなことができるのだろうか? と気になってしまいました。そこで、中目黒本店に行って、どの程度のものなのか体験してみました。

全国共通の5商品は好みが分かれる!?

 ヒット商品の一つ「情熱価格 食べるラー油」は、10%オフの53円引きに 値下げ対象の基本ルールは、全国共通の10商品と、各エリアで選定した10〜60商品を1カ月ごとに値引き販売するというもの。

 全国共通のアイテムはアプリ上で金額を確認することができますが、エリア選定のアイテムは店舗に行ってみないと分かりません。

 4月(4月1〜30日)の「マジ価格」全国共通10商品のうち食品は次の5つ。

・マルちゃん ごっつ盛り ソース焼きそば 97円(30%オフ)

・伊藤園 熟トマト 107円(37%オフ)

・情熱価格 食べるラー油 485円(10%オフ)

・情熱価格 みかん(身割れ) 237円(8%オフ)

・情熱価格 燻製チーズ&ナチュラルチーズ シーザーサラダドレッシング 323円(9%オフ)

※1家族1点限り

 この5点は日常生活に欠かせない超定番品とは言い切れず、正直好みが分かれそうだと感じました。ところが大きく驚かされたのは、エリア選定のアイテムだったのです。



どん兵衛が40%オフになっていた

 中目黒本店では、どん兵衛2品が214円から129円に値下げされていました エリアで選定された商品を見ていくと、値下げの喜びを大きく実感するものが多いことに気がつきました。

 例えば、日清食品のどん兵衛(きつねうどん、天ぷらそば)は、214円が129円に。なんと40%の値下げになっています。

 このマジ価格の基本内容として当初は1〜3割ほど値引きと聞いていたこともあり、想定外のインパクトを感じたのです。

 そしてこの発見をきっかけに、他をいろいろ集めてみたところ、値下げ実感を強く感じるカゴになっていきました。

定番商品を中心に、8品で621円の値下げに驚いた

 キッコーマンの生しょうゆや揖保乃糸など合計8品がすべて値下げ対象に 値下げのインパクトを強く感じたのは、エリア選定の商品でした。

 例えばキッコーマンのしぼりたて生しょうゆは15%オフ(53円引き)の302円、播州の揖保乃糸そうめん6束は25%オフ(96円引き)に。

 雪印メグミルクの北海道100さけるチーズやヤマキのめんつゆも、安くなって嬉しい人は絶対に多いはずです。私が個人的にもっとも嬉しかったのは、明星食品のチャルメラしょうゆラーメン5食パックの32%オフ(151円引き)。

 これらは主にストック買いができるアイテムですから、財布に優しい買い物と言えそうです。今回は購入しませんでしたが、バナナも対象(7%オフで129円)になっていました。

 バナナは7%オフ(9円引き)の129円に ちなみにエリア選定の商品はチラシで確認することもできますから、アプリでいちいち確認する必要はなく、忙しくて店内で探す暇のない人も安心でしょう。

 中目黒本店で配布されているチラシ。これを見れば一目瞭然です

マジ価格の弱点は?

ドン・キホーテ 買い物を終えて満足しながら帰ってきましたが、まとめとして今回のドン・キホーテの値下げ企画を冷静に考察してみました。

 まず、世の中値上げラッシュが続く中の提案としては、お世辞抜きに素晴らしいアイデアであると断言できます。チラシを見ても、欲しいものが確かにいくつもあり、1か月ごとに楽しみながら賢く活用することで節約にもつながるでしょう。

 しいて弱点を探せば、アプリありきの企画であるであるために、使いこなせない人もいるということ。ただし無料アプリなので、一度登録をしてチラシを頼りに買い物をすることができれば問題は解消されます。

 さあ皆さんはドン・キホーテの値下げを、どう評価しますか!?

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12