スイス・ジュネーブで行なわれたF1委員会で、F1スペインGPから新しいリヤカメラをマシンに搭載することが承認された。

 この新しいカメラは、リヤ後部に突き出した衝撃吸収構造の上に設置されるため、追いかけるマシンを間近から捉えるユニークな視点を視聴者に提供する。

 F1マシンには、これまでもロールフープ上にリヤカメラが設置されていたが、その映像はエンジンカバーやリヤウイングが含まれる高い視点からのモノ。新しいカメラアングルでは、より地面に近い視点からの映像となり、大きく異なる臨場感を生み、テールトゥノーズのバトルシーンではより迫力のある映像を届けるはずだ。

 この計画について今年のはじめ、motorsport.com/Autosportに語ったF1の放送メディア担当ディレクターのディーン・ロックは、GTレースをはじめとする他カテゴリーで見られるような迫力のあるオンボード映像を提供できるはずだと説明していた。

「我々の(既存の)ロールフープから後ろ向きに映したカメラは良いが、マシンの中央に配置されている」とロックは言う。

「そのため、リヤライトの位置に(カメラを)置いたような、ポルシェ・スーパーカップで得られる、2台のマシンが本当に接近するように映る映像はなかった」

 F1は昨年、アストンマーティンとFIAの協力の下、新たなリヤカメラの実験を行なった。カメラが映した映像は壮観だったものの、実際にカメラを設置するのは難しかったとロックは言う。

「映像は本当に素晴らしく、我々も本当に気に入ったが、我々のプロセッサーからはとても遠い位置になる。その距離は4mもあり、ケーブルでは他への干渉など色々なことが起こり得た。だから、いくつかの問題を解決してきた」

 技術的な問題を乗り越え、最後のハードルはF1チームとFIAの承認を得ることだった。カメラの搭載位置は、マシンが衝突した時の安全性を確保する上で、非常に重要な部分だからだ。

 しかしカメラの搭載にネガティブな要素がないと全員が納得したことから、スペインGPからカメラを搭載し、使用する計画が承認された。