2024年シーズンのF1序盤戦は厳しい戦いを強いられたダニエル・リカルド(RB)。RBのローラン・メキーズ代表は、リカルドが必ずそのポテンシャルを発揮できると考えている。

 リカルドはここまで、VCARB 01のハンドリングに対して自信を持てていない部分があり、チームメイトの角田裕毅に対してパフォーマンス面で後れを取っている。その苦戦ぶりから、夏休みまでに状況が改善されなければシーズン終了を待たずして解雇されるのではないかとの憶測が流れたほどだ。

 しかし第4戦日本GPでは予選で角田に肉薄して11番手に食い込むと、新シャシーを投入した第5戦中国GPでも予選12番手に入り、ランス・ストロール(アストンマーティン)に追突されるまでは入賞争いに絡むなど、その調子は上がりつつある。そのためRBもリカルドの能力を全面的に信頼しているようだ。

 メキーズ代表は、リカルドがマシンの挙動に慣れるにはまだもう少し作業が必要だとしつつも、8度のグランプリウイナーであるリカルドは結果を残せる人物であることに疑いはないと語った。

 今のリカルドは、昨年のシーズン途中にF1カムバックを果たした時と同じポテンシャルを持っていると感じるかと尋ねられたメキーズは、こう答えた。

「ああ、間違いない」

「我々の仕事のDNAというのは、車両とドライバーがベストなパフォーマンスを発揮するためにどんなセッティングが必要なのかを見極めることだ。そしてそれこそがふたりのドライバーと共に取り組んでいることだ」

「我々はその中で、ユウキの力強い成長を目の当たりにした。そしてダニエルが調子を取り戻しつつあるというのも見受けられる」

 角田が既に2度の入賞を記録している一方で、リカルドは未だノーポイントとなっている。メキーズはこれについて、能力よりも不運が大きな要因になっていると話す。実際、前述の通りここ数戦は堅実な予選パフォーマンスを見せているが、日本GPではスタート直後のアクシデントでリタイア、中国GPではストロールの追突を受けリタイアと、アクシデントによって完走を果たせない状況が続いている。

「(第2戦の)サウジアラビアの段階で、我々は彼をどのようにサポートすればいいかが分かり始めていた。軌道には乗り始めていたのだ」とメキーズは言う。

「まだゴールに到達したわけではないし、中期的に見れば、彼のフィーリングを良くするため、我々のマシンが彼のドライビングスタイルに最も合うようにするためにはいくつか課題がある。しかし我々が(中国で)見たような具体的な進歩が見られたことは自信にも繋がるだろう」

 結果が伴っていないことから批判の対象になることもあるリカルドだが、RBのチーム内には彼の課題を解決しようという決意があるとメキーズは語る。

「外から見える状況とは異なり、シーズン序盤のこの困難な状況において、彼は非常に集中していて、冷静で理性的だった」

「我々はマシンの限界と、彼がより速く走るために必要なものを検討した。いくつかのステップはすぐに実行できるが、まずは色々と理解をする必要がある。理解できればすぐに実行できるステップもあれば、もっと時間がかかるステップもある」

「我々はできる限り多くの項目に目を通そうとしてきたが、ここで立ち止まることはない」