レッドブルレーシングでの内紛の結果、チームでチーフテクニカルオフィサー(CTO)を務める“空力の鬼才”ことエイドリアン・ニューウェイがチームを離れることが発表された。

 ニューウェイは2025年3月に正式にレッドブルを離れるが、それに向けていくつかのチームが獲得に乗り出している。そしてニューウェイの古巣であるウイリアムズもそのひとつのようだ。

 現時点でニューウェイはレッドブル離脱後のプランを明かしていないが、2025年にはルイス・ハミルトンが加入するなど、勢いづくフェラーリへの移籍が有力視されている。

 ただ優勝請負人とも言えるニューウェイの獲得に興味を示しているのはフェラーリだけではなく、アストンマーティンもニューウェイに多額のオファーを提示したとの話も出ている。

 そしてウイリアムズも、チーム代表のジェームス・ボウルズが既にニューウェイと話し合いの場を持ったと明かした。

 ニューウェイ獲得交渉について、motorsport.comの独占インタビューに応じたボウルズ代表は、次のように語った。

「エイドリアンとは以前から知り合いだったし、金曜日には彼と話をした。またすぐに話すことになると思う」

「彼はこのスポーツの象徴だ。それは間違いない。ウイリアムズに彼がいた時から、彼が所属したチームは全てタイトルを狙うことができた。それは偶然ではなく、彼がこのスポーツに与えた影響なのだ」

「彼と話をしないのなら、それは私の怠慢だ。単純なことだよ」

 ウイリアムズにとって、ニューウェイは1990年代初頭の黄金期における立役者といえる存在だ。

 1991年にウイリアムズへ加入したニューウェイは、当時テクニカルディレクターを務めたパトリック・ヘッドと共に、1992年にナイジェル・マンセルの世界タイトル獲得に貢献したFW14Bの開発に携わった。

 ニューウェイがデザインしたマシンは1993年、1996年、1997年にもタイトルを獲得。その後マクラーレンに移籍するまで、ウイリアムズのF1での成功に大きく寄与した。

 ニューウェイの獲得は“ドリームチーム”再結成の一助になるだろうと語るボウルズ代表だが、話し合いはまだ初期段階であることを認めた。

「ウイリアムズとしてやるべきことは膨大だと思う」とボウルズ代表は語った。

「エイドリアンであろうとなかろうと、我々の仕事は膨大なモノだ。エイドリアンはそれを簡単にしてはくれないが、それが全体のポイントなのだ」

「我々も分別が必要だと思う。彼との会話は非常に軽いモノだ。話し合いはしているかと聞かれればイエスだ。そして、それがドリームチームになるかと聞かれればイエスだ」