3月の鈴鹿サーキットで、スーパーフォーミュラへのデビューを果たしたJuju(TGM Grand Prix)。あれから2ヵ月、新たなスポンサーを獲得するなど依然として注目を集める中、第2戦の開催地であるオートポリスに降り立った。

 Jujuのスーパーフォーミュラデビュー戦は、17位完走という結果だった。予選ではライバルに大きな差をつけられてしまったが、決勝では下位集団に大きく遅れることなく、周回によってはライバルを上回るようなレースペースを見せた。

 予選での苦戦から状況を好転させたJuju。これについて、彼女の父でもありTGM Grand Prixにはドライビングアドバイザーとして帯同する野田英樹氏は開幕戦決勝直後、予選日はチームとJujuの意思疎通がうまくいかず、それが苦戦の大きな要因になったとして、次のように話していた。

「チームのポテンシャルが高いことは分かっていますが、それを引き出すこともできず、Juju自体ももっと力を発揮できたと思いますが、それも引き出すことができず……みんながフラストレーションの溜まる1日だったと思います」

 そういった悪い流れになっていたこともあり、予選日午前のフリー走行を終えた後のミーティングはかなり白熱していたという話も聞こえてきている。その中で様々議論をした結果、当面の間は英樹氏がチームのオペレーションにもこれまで以上に関わることになったという。

「私自身としては、Jujuは(家族チームである)NODA RACINGを卒業して、去年までのやり方から卒業したわけで、基本はTGMさんに預けるという考えです。ただTGM側もJujuをどう扱ったらいいか分からない、Jujuもこれほどの大所帯のチームかつハイレベルなレースの中で、どこまでどういった意見をすればいいか分からない……そんなつまらない遠慮のしあいがあったと思います」

 英樹氏は鈴鹿でそう語っていた。

「そういったことをしている場合ではないし、結果を出すためにぶつかるところはぶつかればいいと思っています。フリー走行が終わった後に改革をするための話し合いがあったのですが、その結果当面は自分が間に入ることになりました。僕は基本的にドライビングアドバイザーとして帯同していますが、チームとJujuが円滑に仕事をするために、僕がもうちょっとその辺のオペレーションに加わるということになりました」

 結果的にそれからのJujuのレースウィークの流れは好転した。英樹氏は当面オペレーションに関わるだろうと語った一方で、「僕は出しゃばるつもりはないし『俺にやらせろ』というつもりはありません」とのこと。Jujuとチームが円滑にコミュニケーションを取れるようになれば、フェードアウトすればいいと話している。

 Juju親子がスーパーフォーミュラを戦いの舞台に選んだのは、18歳の若さで国内トップフォーミュラを戦うということが何物にも代え難い経験になると考えているからでもある。その中で英樹氏が挙げたのはセッティング能力やコミュニケーション能力だった。

 これまでは家族チームで、F4規格や旧F3規格の車両でのレースを主戦場にしてきた中、今年はF1の次に速いとも言われるSF23を、プロフェッショナルなエンジニアリングチームと走らせている。これはドライビング面だけでなく、「チームと共にクルマを速くする」というエンジニアリング面でも大きなチャレンジと言えるだろう。英樹氏からのサポートが、その下地を作る上での一助となるか。