カープの3・4月成績は24試合で10勝11敗3分、借金1 で4月を終えました。新井カープ1年目の昨季は24試合で12勝12敗だったので、ほぼ昨年と同じ成績と言えますが、今季はすでに3つの引き分け、しかも全てスコアレスドローというのが昨年と違うところでしょうか。昨年のこのコラムでは、週ごとに投打のMVPを選出しましたが、今季は連盟表彰と同様に毎月1回、チームの月間MVPを選出したいと思います(成績は4月30日時点)。

◆床田寛樹と森下暢仁は全試合でクオリティスタート

まずは投手から。先発では九里亜蓮と床田寛樹が最多の5試合に登板し、大瀬良大地、森下暢仁など4投手が3試合、黒原拓未が2試合登板。勝利数では床田、森下、アドゥワ誠が2勝を挙げており、その他の4投手は未勝利ですが、防御率を見ると床田の1.54、森下の1.86はともかく、大瀬良も1.56と好投しています。

クオリティスタート(QS)率を見ると、床田、森下が100%と完璧な内容ですが、防御率3.21の九里も80%と高い数字を残しており、5試合中3試合で無失点に抑えています。大瀬良も登板3試合中2試合で無失点ですが、QSは1試合のみで33%。開幕2連勝のアドゥワは、3試合で防御率2.45と合格点の数字ですが、いずれも5回途中までに降板しており、QSは0%です。

リリーフでは、島内颯太郎が最多の13試合に登板。以下、栗林良吏12試合、塹江敦哉11試合、益田武尚、矢崎拓也10試合と続きます。防御率では、塹江と矢崎が0.00をマーク。栗林は開幕から9試合連続無失点でしたが、10試合目にサヨナラ弾を浴びて今季初失点。ただ、失点はこの1点のみで防御率は0.82となっています。

昨季最優秀中継ぎ賞の島内は今季初登板でいきなり失点するなど4試合で失点して防御率2.92と、やや不安定な内容でした。益田は開幕8試合連続無失点でしたが、2試合連続の3失点で30日の登板を最後に一軍登録抹消となり増した。

その他の投手では、森浦大輔が6試合で防御率1.69、黒原はリリーフでも5試合登板で、先発と合わせた7試合の防御率は1.46と1点台をキープしています。勝敗などの数字では、栗林が6セーブ(1ホールド、1敗)をマーク。島内は2勝1敗3ホールド、塹江が1勝3ホールド、矢崎が5ホールド、中崎翔太は8試合登板で1勝1敗2ホールドとなっています。

◆主軸が苦戦した野手陣

野手は菊池涼介と小園海斗が全24試合に出場し、秋山翔吾22試合、坂倉将吾と堂林翔太が21試合、野間峻祥、田村俊介、矢野雅哉20試合と、8人が20試合以上に出場。

8人の打撃成績を見ると、打率トップが野間で.304、本塁打は坂倉が2、打点は10の菊池が最多となっています。20試合で4番を任された堂林は、打率.246、0本塁打、4打点、全試合で3、5番起用の小園は打率.247、0本塁打、8打点。期待の新鋭・田村は打率.197、0本塁打、2打点と苦戦しています。

ベテランの秋山は打率.257、1本塁打、4打点と、本来の実力からすればやや物足りない感もありますが、17日から起用された1番では打率3割超をマークしており、西武時代から慣れ親しんだ打順で、ヒットメーカーの本領発揮が期待できそうです。

二塁、遊撃でスタメン起用も増えてきた矢野は打率.222ですが、打率1割台に終わった昨季からはレベルアップの兆しもあり、何より全盛時の菊池をも彷彿とさせる守備は、非力な打撃をカバーして余りある貢献度と言えるでしょう。

20試合未満の選手では、上本崇司が17試合で打率.297をマークしていますが、特筆すべきなのが、12試合出場ながらチームトップの3本塁打を放っている宇草孔基です。打率.286、6打点で外野の一角を確保しつつある大卒5年目の27歳は、「今年ダメなら後がない」意気込みで、飛躍が期待できそうです。

◆3・4月の月間MVPは栗林良吏と宇草孔基

月間MVPは、投手は昨年からさらに無双感が増した感もある床田や、腕を下げた投球フォームで切り札になりつつある塹江などが候補ですが、12試合で打たれた安打はわずか3本、四死球も1つのみと、絶対的守護神として復活した栗林を選出。

野手は数字的に言えば野間ですが、代打、決勝、先制と3本の本塁打は全て勝ちゲームでのもので、インパクトも満点だった宇草にしたいと思います。

文:大久保泰伸