30試合を終えて早くも完封負けが6度。チーム打率、同得点はいずれもリーグ最下位で、さらに日曜日のマツダスタジアムでは3試合でいまだ得点なしと、かつてないほどの貧打に苦しむ今季のカープ。

それでも勝率5割で3位に浮上したのは、投手陣の頑張りに尽きると言うしかありません。ゴールデンウイーク(GW)明けの首位阪神との2試合は、その象徴とも言えるゲームでした。

得点がリーグ最少なら、失点もリーグ最少。ただその結果、得失点差+7はリーグ2位の好成績で、実は意外とバランスのいいチームなのかもしれません。5月に入って1試合最多の得点が4、失点が5と、ロースコアの接戦ばかりだった6試合で目立ったトピックを挙げていきましょう。

◆床田、昨季リーグMVP相手に『3度目の正直』

村上頌樹に次いでリーグ防御率2位の床田寛樹。今季は4月9日の初対戦では、両者が7回を投げて、0-1の最少スコア、30日は床田が6回3失点も村上は9回1失点完投と、床田が2連敗を喫していた。2週連続の対戦となった5月7日、『3度目の正直』で左腕がついに一矢を報いた。

この日は初回に4番起用の小園海斗が先制の犠飛、5回には秋山翔吾のタイムリーで2点の援護をもらった。立ち上がりに味方の失策で走者を許すも併殺打で切り抜けると、以後は6回まで散発の3安打で無失点。7回に1死から初めての連打でピンチを招いたが、力のある球でいずれも内野フライに打ち取った。

8回にも2本の安打と四球で1死満塁としたところで降板したが、代わった島内颯太郎が後続を許さず、無失点で左腕に今季3勝目、村上相手に初の勝利をもたらした。5月8日現在で防御率は1位村上(0.88)、2位床田(1.28)、勝利数は床田が3勝(2位タイ)、村上が2勝(10位タイ)と、今後も両投手がタイトル争いの中心になりそうだ。

◆大瀬良、阪神戦『3度目の正直』での初勝利

5月8日の阪神戦で大瀬良大地が、自身5度目の登板で今季初勝利をマークした。今季はここまで防御率1点台と好調だが、クオリティスタート率は40%で勝ち星には恵まれていない。

4月11日の阪神戦では7回無失点と好投するも、援護ゼロで勝ち負けなし、引き分けに終わった1週間前の5月1日の同カードも5回2失点で降板し、大瀬良にとっても阪神戦『3度目の正直』での初勝利だった。

この日も6回終了まで1-1の投手戦となったが、カープファンのみならず、阪神ファンもザワついた新井貴浩監督の采配が見られたのが、7回表のカープの攻撃。2死3塁と勝ち越しのチャンスで大瀬良に代打を出さず、打席に立たせた。

大瀬良は三振で得点はならなかったが、これに刺激を受けた打線が、8回表に小園、末包昇大の2本のタイムリーで勝ち越しに成功。8回は島内、9回は栗林良吏の『勝利の方程式』で反撃を許さず、指揮官の『神采配』が大瀬良に今季初白星をもたらした。

◆今季も続く『日替わり4番』

昨季は7人が4番を打った新井カープだが、今季もその流れは続いている。GW中も4人の選手が4番で起用された。4月27日の坂倉将吾に始まり、28、29日は松山竜平が今季初の4番。5月1日から3試合は開幕から続いた堂林翔太に戻った。5日の坂倉を挟み、7、8日の阪神戦では小園がプロ6年目で初の大役を務めた。

和製大砲として4番候補に期待された末包がケガで出遅れ、新外国人2人も故障で開幕早々に離脱。昨年同様の『猫の目打線』で4番打者の固定ができないのは、述べ4選手の打順別成績で打率.243と、低い数字が最大の要因となっている。

個人別に見ても、最多の22試合で4番を務めた堂林が.227、4試合の坂倉が.182、松山は2試合で.286だが本塁打、打点はゼロと振るわず、直近の2試合で打率.429、2打点の小園がこのまま4番を務めるのか。それとも一軍復帰初戦で2安打1打点の末包を抜擢か、はたまた他の選手なのか。1番・秋山が定着しつつあるだけに、貧打解消へ、今後の動向が注目される。

文:大久保泰伸