自民党が今年1月の政治刷新本部の中間とりまとめで廃止方針を打ち出した派閥の「氷代」(夏の活動費)に代わる国会議員活動資金が6月に同党本部から支給されることが7日、分かった。同日の党役員連絡会でも異論は出なかったという。派閥裏金事件で不記載金が明らかになった清和政策研究会(安倍派)などの議員へも支給される見通し。不記載金の処理も未確定の中で同派以外の議員からは「不当な二重取り」との厳しい批判が上がっている。

 刷新本部は党総裁の岸田文雄首相が本部長となり発足。とりまとめには派閥が所属議員に配る「氷代」と「もち代」(冬の活動費)の廃止が盛り込まれていた。今回の措置は派閥解体に伴う資金減額を党本部が肩代わりする格好だ。

 党関係者によると、これまで自民は選挙区支部長に年間1200万円を6回に分け支給してきた。党本部通達によると(1)4月支給分を通常200万円から300万円に増額(2)次期6月は定期分200万円と「夏の活動費」300万円の合計500万円を支給する−とした。年総額の積み増しの有無については「未定」(党幹部)という。「総理は派閥解体を主導した立場で穴埋め策を行うつもりなのだろう」(同)とされる。

 今回の問題の契機となった「不記載金」の扱いを巡り自民執行部は迷走中。当初構想の「希望者による納税」は「能登半島地震被災地への一括寄付」となり現在は宙に浮いた状態だ。一方、これまでの刷新本部内の検討では「政治資金収支報告書への不記載が悪質だった場合の相当額没収」も浮上。7日から本格化した公明党の協議でも議論になりそうだ。公明内には「法改正に先立ち、自民として裏金プール金のけじめはつけてほしい」(公明議員)との意見も相次ぐ。