富山県立山町は28日、災害時の指定避難所の解錠に、町職員のマイナンバーカードを活用する仕組みをスタートさせた。町によると、県内自治体で初の試み。昨夏に県東部を襲った豪雨災害や元日の能登半島地震の教訓を生かす。

 町は10月から、町内7小中学校の体育館の利用をオンライン予約し、ひも付けしたマイナカードで解錠できるシステムを運用する予定。ただ、避難所となった施設の解錠の遅れが被災地域などで課題となったことから、迅速化へ先行運用した。

 職員はあらかじめ自身のマイナカードを登録。施設の鍵を携行する担当職員が間に合わない際に、別の職員がカードで錠を開ける。この日は立山中央小体育館でデモンストレーションがあった。舟橋貴之町長は「避難所を求める住民の安心につながる。緊張の日々は続くが、しっかり対応していく」と述べた。

 昨年の豪雨では白岩川ダムが緊急放流を実施。住民への情報提供の在り方が課題になった。県は梅雨入りを前にダムの貯水位をあらかじめ下げ、水をため込める量を増やす運用を開始。水位上昇を知らせるメール配信も始めた。町は防災行政無線の機能向上も進めている。

 白岩川では決壊した堤防の本復旧も始まる。町の3地区で仮復旧の状態だが、県は来年1月末までに完了する方針。町は浸水被害に遭った農地の復旧を急ぐ。