酒かすにチーズ、そしてパン。神戸らしい食材を組み合わせた「神戸チーズトースト」が、新たなご当地グルメとして広がりつつある。市内の事業者がタッグを組み、昨年から提供を始めると、メニューに加える飲食店もじわりと増えてきた。普及を目指す団体のメンバーたちは「姫路のアーモンドトースト、名古屋の小倉トーストにも負けない神戸の味にしたい」と意気込む。(森下陽介)


 飲食店主らでつくる「神戸チーズトースト実行委員会」の木戸彩さんを中心に考案した。酒どころ・灘五郷の酒造会社、日本で初めて個包装のスライスチーズを発売した六甲バター(中央区坂口通1)と協力。神戸市が消費量日本一というパンを組み合わせ、市内の喫茶店3店舗で提供が始まった。

 一口ほおばると、チーズの優しい味わいとふわっとした酒かすの香りが鼻に抜ける。メニューの提供が始まると客からの評判は上々で、現在は13店へと拡大。あんこを添えたり、パフェに見立ててフルーツを載せたりと、個性的なレシピを開発する店も出てきた。

 阪急王子公園駅前の「ティーカフェ カラー」(灘区王子町1)もオリジナルメニューを考案。自家製シロップと酒かすを合わせ、バーナーでチーズをこんがりと焼いたトーストに仕上げる。オーナーの速水佑一郎さん(43)も「酒が苦手な人でもおいしく食べられる」と自慢の出来栄えだ。「お客さんにおいしくて面白いと思ってもらえるメニューとして定着していけば」と期待する。

 同実行委は3月、三宮センター街1丁目商店街であったファッションショー「三宮コレクション」に出店。若者を中心に来場者が独特の風味を楽しんでいた。

 木戸さんは「1枚で神戸を味わえるのが『神戸チーズトースト』。喫茶文化が根付く土地柄と相性もぴったり」とアピールする。公式ホームページで取扱店舗やレシピを紹介している。