JR神戸駅(神戸市中央区)構内でかつて皇族用の「貴賓室」があったスペースが、10日にオープンするスターバックスコーヒーの客席に生まれ変わる。構内の別の場所で営業していた店舗を移転させる。シャンデリアや大理石の暖炉、木組みの床板など当時の内装を引き継ぎ、スタバ側は雰囲気に合う家具をそろえた。神戸−大阪間で1874(明治7)年に鉄道が開業してから11日で150年を迎えるのを前に、貴賓室が「復活」する。

 貴賓室は神戸駅開業から15年後の1889(明治22)年、2代目駅舎の完成に合わせて設けられた。3代目駅舎ができた1930年代に現在の場所に移転。昭和天皇や、皇太子時代の上皇さまが立ち寄られた。その後、駅長室や商業施設などに姿を変える中で玉座は撤去された。2016年からは別の飲食店が貴賓室スペースを客席として活用したが、23年1月に閉店した。

 スタバは旧店舗が手狭となったため移転を決定。JR西日本アーバン開発(神戸市東灘区)と協議し、貴賓室の内装を生かすことにした。貴賓室スペースのある1階のほかに2階もあり、アーチ形の窓枠越しにコンコースを見下ろせる。

 スタバの担当者は「長年、大切にされてきた場所。店を通じて、歴史を知る機会になればうれしい」と話す。(広岡磨璃)