コンビニの駐車場には「前向き駐車をお願いします」といった内容の看板が掲示されていることがあります。一体なぜ多くのコンビニで「前向き駐車」が推奨されているのでしょうか。

コンビニの「お願い」の理由とは

 コンビニの駐車場には、「前向き駐車をお願いします」といった店舗からの要望が掲示されていることがあります。
 
 これはその言葉通り、バック駐車ではなく前向き駐車を推奨するものですが、ではバック駐車にどのような問題があるのでしょうか。

 店舗がバック駐車ではなく前向きに駐車して欲しい理由のひとつとして挙げられるのが、「近隣の民家への配慮」です。

 例えば住宅街にある店舗では、クルマが駐車する向きによっては「排気ガス」が近隣の民家に流れて迷惑となってしまうため、前向き駐車をすることで排気ガスがなるべく民家側に流れないようにしており、同時に「マフラーの騒音」が向かう方向についても配慮されています。

 マフラーからの騒音は近隣住民への影響が大きく、とくに夜間には店舗に苦情が寄せられることも珍しくありません。

 また、これらの排気ガスや騒音はクルマが動いている間のみならず、店舗で買い物している間もエンジンをかけたままにする人がいるほか、エアコンを使用するためエンジンをかけたままクルマの中で休憩を取る人も。

 これらのコンビニ利用者にとっては一時的に思えるかもしれませんが、近隣の住民は排気ガスや騒音による迷惑を日常的に受けることになるので、できるだけその影響を軽減するために前向き駐車が推奨されているのです。

 そのほかにも、コンビニの利用者への配慮として前向き駐車を推奨されることがあります。

 店舗前のスペースにバック駐車すると、店舗内に排気ガスが入り込んでしまうことも考えられます。

 コンビニでは飲食料品を取り扱っており、近年ではイートインスペースを設けた店舗も増えたことから、店内に排気ガスの臭いが入り込んでしまえば利用者が不快に感じることは想像に難くありません。

 さらに、植栽や街路樹などの植物を守るために前向きに駐車を勧めることも考えられます。

 一時的に排気ガスがかかる程度では大きな問題にはなりませんが、長期間に渡り排気ガスを浴びてしまうと場合によっては植物の成長を妨げたり、ひどい時は枯れてしまう可能性もあるでしょう。

 このように、店舗ごとに「前向き駐車」をお願いする理由はいろいろと考えられますので、そのお店を利用する際には看板などの掲示を確認し、お願いの内容を守って利用することが大切です。

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 その一方で、駐車場が狭かったり道路や歩道との距離が近かったりすると、「たとえ前向き駐車をお願いされても難しい…」という状況もあるでしょう。

 コンビニの前向き駐車は、あくまで店舗による「お願い」であるため、前向き駐車が推奨されるコンビニでバック駐車をしたからといって違反になることは無く、なにより無理して事故を起こしては元も子もありません。

 もちろん前向き駐車を推奨しているのには先述のように近隣住民への配慮などの理由が考えられるため、「安全な運転」と「店舗の推奨」両方を意識しつつ、その場にとって最適な方法を選択して迷惑をかけないよう利用すると良いでしょう。