キャンプが定番レジャーとなるなか、キャンピングカーのレンタル業者も増えました。しかし、さまざまな架装が施されたキャンピングカーは普通のクルマと運転感覚がかなり違うと言われており、取り扱いには注意が必要です。

キャンピングカーに必要な運転免許はどれ?

 一時の爆発的なブームは落ち着きましたが、以前としてアウトドア人気が高く、キャンピングカーでのオートキャンプを体験してみたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
 
 年に数回使用するために購入するのはさすがに敷居が高いと思われるキャンピングカーですが、近年はレンタル業者も増え、気軽に借りることができるようになりました。

 しかし、さまざまな架装(カスタム装備)が施されたキャンピングカーは、普通のクルマと運転感覚がかなり違うと言われています。運転する際の注意点とはどのようなことなのでしょうか。

 そもそもキャンピングカーを運転するためには特別な運転免許証が必要なのでしょうか。

 結論からいうと、日本に導入されているキャンピングカーのほとんどは普通免許で運転が可能です。厳密に言えば、車両総重量が3.5t未満、最大積載量が2.0t未満、乗車定員が10人以下であれば普通免許でOKとなっています(2017年に改正)。

 また最近はトレーラーを引っ張るスタイルも人気を博していますが、こちらも750kg以下であれば普通免許でのけん引が可能。ただし750kgを超える大きなキャンピングトレーラーをけん引する場合は、別途「けん引免許」が必要になります。

 普通免許で運転できるキャンピングカーには大きく分けて4種類あり、軽トラなど軽自動車ベースの「軽キャン」、商用バンをベースにした「バンコン」、トラックベースで架装された「キャブコン」、大型でバスをベースとする「バスコン」があります。

 キャンピングカーデビューをするなら扱いやすい軽キャン、少し大きいトヨタ「ハイエース」などを架装したバンコンは取り回しがやすいのでオススメでしょう。

 キャンピングカーと一言でいっても、必ずしも使いたい装備が全部付いているとは限りません。

 なぜなら、キッチンやトイレ、シャワーなど一式を装備するか、装備を減らしても居住空間を確保するなど、用途に応じて1台ごとにカスタムの違いがあるからです。

 たとえば目的地(オートキャンプ場)に入浴施設や共有キッチンがあれば、キッチンやシャワーがなくても問題ないでしょうし、逆に何も設備のない自然のなかで車中泊するのであれば一式揃っているほうが安心できるでしょう。

 気になるレンタル費用ですが、軽キャンは1日5000円〜2万円、バンコンやキャブコンは平日なら1日2万円前後ですが、週末や連休・ハイシーズンなどは+αの追加料金が発生するようです。

 これにオートキャンプ場の利用料金が6000円〜2万円弱(時期や区画によって変動)が加算されるので、実は意外に安くはありません。

 それでもキャンピングカー特有の雰囲気を味わうことができ、旅館やホテルとは違う夜を過ごせるのは間違いないでしょう。

 そのほかキャンピングカーの購入を検討する際、安くない買い物だけに、あらかじめ様々なタイプのレンタカーで試してみるという人も少なくないようです。

走行中は「重さ」と「高さ」、駐車場では「長さ」に注意

 では、キャンピングカーの運転感覚は、通常のモデルとどのような点が異なるのでしょうか。

 キャンピングカーの所有経験があるS氏(50代・男性)に話を聞いてみました。

 かねてからキャンピングカーを一度は所有してみたいと考えていたS氏、どうしても欲しかったキャブコンを購入したのだそうです。

「値段が高いのは覚悟していましたが、それ以上に苦戦したのが駐車場探しでした。横幅や長さはもちろんですが、キャンピングカーは高さがあります。

 屋根のない平置きの駐車場を探したのですが、今度はサイズがオーバーしてしまい。都市部で駐車場探しが難航することがわかりました」

 キャンピングカーのレンタル店スタッフにも聞いた話ですが、キャンピングカーの大きさには注意が必要ですが、とりわけ「高さ」にはかなり気を使うべきだといいます。

「私が購入したキャブコンは車高が3mにあり、駐車場探しもそうですが、走行中に厄介だったのが街路樹です。全高が3mもあると、街路樹にルーフがバシバシ当たってしまうのです。

 そのため街路樹を避けて道路のセンターライン寄りに走る必要があります」

 また立体交差などは高さ制限があり、2m台というところも少なくありません。間違って進入してルーフをぶつけてしまわないように、走行ルートを事前に練る必要があるといいます。

「同様に、出かけた先の駐車場ではやはり高さ制限に気をつけるとともに、リアオーバーハングの長さを意識させられました。車輪止めに当てて駐車する前に、後方の何かしらにぶつかってしまうのです。

 バック駐車するのであれば車載のバックモニターを過信せず、後方の上部に木などの障害物がないか、後方に余裕はあるか、あとどれくらい下がれるかを、クルマから降りて目視したほうが安全だと思います」

 また、キャンピングカーの走行中は「高さ」だけでなく「重さ」にも注意が必要です。なぜならキャンピングカーは車重が3トン近い車両も多く、ベース車両の約2倍の重さになることも。

 当然ながら加速もしにくいうえに、制動距離も倍近く必要になるのです。

「重量物(架装)を積んでいるので、重心も高くなっていて、横風も受けやすいです。高速道路は80km/h巡行を厳守しながら、車間距離も大きく取り、周囲に気をつけながら走行する必要があります」

 またブレーキのたびに車内の荷物が動かないように、しっかり固定することも大切です。

 とにかく「急」がつく操作をしないことが、安全なキャンピングカー運転の基本なのです。