車内に虫が侵入した場合、どうするのがベストなのでしょうか。

野生の虫が侵入してきた! ドライバーはどうする?

 毎年ゴールデンウイーク頃は新緑もまぶしく、お出かけにはちょうど良い気温です。自然を満喫するためにクルマでレジャーに向かう人も多いでしょう。
 
 その際に、クルマの窓を開けて自然の空気を味わったり、車内に心地よい風を取り入れたりする人もいるかもしれませんが、風とともに厄介な「虫」が侵入してくることがあります。どう対処すればいいのでしょうか。

 5月上旬から夏にかけては新緑の季節ですが、それとともに越冬した虫たちの活動も活発になってきます。

 万が一車内に侵入してきてしまうと、虫が苦手な人の場合はパニックに陥る可能性があり、そうでなくとも車内で飛び回ったり、ウインドウに付着したりして運転に集中できなくなります。

 また、ハチやアブなどの虫では刺されて強い痛みやアレルギー反応を引き起こすこともあり、極めて危険です。

 そのため、虫が侵入した場合は素早く逃がすことが必要ですが、脇見運転や手放し運転になるため、走行中に無理に捕まえるべきではありません。

 こうした虫を追い出すためにもっとも効果的で安全な方法は、「窓全開走行作戦」です。

 窓の操作はパワーウインドウを装備しているクルマであれば、運転操作にさほど影響ないことに加え、ある程度の速度が出ている状態でしばらく走行を続けると、取り入れた風で虫が出ていきます。

 虫も、無理に捕まえられようとすると攻撃していると感じて臨戦態勢になり、刺したり顔に向かって飛んでくるなど、攻撃性を持つことになるので、慌てずに窓を全開にしましょう。

 この時に、虫がフロントウインドウに捕まっている場合はエアコンをデフロスターモード(くもり止め)にし、最大風量で風を当てると効果的です。車内のゴミや帽子などが飛んでいかないように注意しましょう。

 次に有効なのが「虫を袋に入れる作戦」です。運転中に行うのは難しいので、同乗者に協力してもらうか、停車して虫を刺激しないようそっと捕まえます。

 ハチやアブ、ブユなど、刺される可能性のある危険な虫や、ガやチョウなど羽に鱗粉を持つ虫を逃がすのに効果的です。

 ビニール袋はさまざまな用途に使うことができ、コンビニや土産物店などドライブ中の立ち寄り先でも手軽に入手できるので、ダッシュボードや小物入れなどに数枚入れておくと便利です。

 一方で、虫が侵入してきた場合にやってはいけないのが「潰して処理すること」です。

 見た目や作法的にも好ましいだけでなく、シートや内装パネルの上で虫を潰してしまうと汚れ、シミや硬化、変色などの原因になります。特にシートの場合、虫の死骸が繊維の隙間に入り込むと、除去するのは大変です。

 また、市販の殺虫剤や忌避剤なども効果はありますが、車内で携行するのはNGです。

 ゴールデンウイーク頃は毎年25度を超える夏日になることもあり、炎天下の車内では50度を超す高温になることもあります。

 こうした環境では、薬剤の成分が変質するなどで効果がなくなる可能性に加え、スプレータイプのものでは缶が破裂する可能性があります。

 過去の実験では500mlほどのスプレー缶であっても、フロントガラスを割るほどの大きな衝撃が加わり、場合によっては車両火災につながる可能性もあるため、各消防や製品評価技術基盤機構(NITE)などが注意を呼びかけています。

 なお、そもそも虫が侵入しないように対策を講じるのもひとつの手です。

 ウインドウバイザーを装備し、虫が入らない程度に窓を開けることや、駐車中に窓を開けない・開ける時は市販のクルマ用網戸などを使うと効果的です。

 車内に飲みかけのジュースやお菓子などを放置することもNGで、虫は甘い香りに誘われて侵入することもあります。車内の清掃を心がけることも、虫を寄せ付けないことにつながります。

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 虫は車内で問題になるだけでなく、走行中にヘッドライトやバンパーにぶつかって潰れ、こびりつくこともあります。その場合も塗装の劣化やシミなどにつながるため、なるべく早く落とすことが必要です。

 放置すると死骸が固着し、汚れを落とせなくなるので、早めに高圧ガンとカーシャンプーを使って洗車をしたり、虫取りクリーナーを使うことが大切です。