円相場が急変した29日の外国為替市場で、政府・日銀が5兆数千億円規模の円買いドル売り介入に踏み切った可能性があることが30日、日銀の統計に基づいた市場関係者の推計で分かった。実際に介入していた場合、1日当たりの円買い介入の金額として過去最大だった2022年10月21日の約5兆6千億円に迫る計算だ。

 日銀は30日、金融機関が日銀内に開設している当座預金の増減要因を発表した。5月1日の残高が、為替介入を含む「財政等要因」で7兆5600億円減るとの見通しが判明。当初の市場予想は2兆500億〜2兆3千億円の減少だったため、差額が介入による要因とみられている。

 現時点で、政府は介入の有無を明らかにしていない。財務省は4月26日から5月29日までの介入総額を5月31日に公表し、介入の有無や金額はこの段階で確定する。ただ当座預金の残高が1日でこれほど大規模に動くケースは少なく、市場では29日に非公表の「覆面介入」があったとの見方が一段と濃厚になった。