ウェブサイトに被差別部落の地名や風景の写真などを掲載するのは「差別されない権利」の侵害だとして、掲載された地域に住む大阪府の70代男性が、サイトを運営する川崎市の出版社「示現舎」の宮部龍彦代表に削除を求めた仮処分申し立てで、大阪地裁(井上直哉裁判長)が削除を命じる決定を出したことが7日、分かった。代理人弁護士が同日、記者会見を開き明らかにした。

 決定は1日付。決定書によると、サイトは全国300カ所以上の被差別部落の写真や解説文を掲載した記事が投稿されている。男性が削除を求める記事では、男性の住居を写したほか「部落の寺」「これは同和住宅」などと記していた。

 地裁は、記事で地域の秩序や治安に問題があるように示していると指摘。「差別を受けず平穏な生活を送る人格的利益を侵害している」とした。

 男性側代理人の南和行弁護士は会見で「差別をあおる人に責任を取らせる、画期的な決定だ」と話した。

 サイトを巡っては、記事の削除や損害賠償を求め、掲載された地域の住民らがさいたま地裁と新潟地裁に提訴している。