【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会で約15年にわたり北朝鮮に対する制裁の実施状況を監視してきた「専門家パネル」(定員8人)の任期が4月30日で終了した。ウクライナ侵攻後、北朝鮮と軍事協力を深める常任理事国ロシアが3月28日、任期延長を求めた決議案に拒否権を行使したためだ。日米韓は代替案を模索するが難航しており、北朝鮮の核・ミサイル開発への監視が弱まることが懸念されている。

 専門家パネルは2009年の北朝鮮の核実験を受けて設置された。制裁状況について情報収集し改善を提言する中間報告、年次報告書を安保理に提出。1年の任期延長は「当然の了承事項」(安保理筋)として毎年、採択されてきた。

 今年3月20日に公表された年次報告書では、北朝鮮がサイバー攻撃で得た計約4700億円の資金を核開発などに充てていると分析していた。

 3月28日、任期延長を巡る採決でロシアは「北朝鮮制裁の見直しが必要」と主張し拒否権を行使。日米韓など13カ国は賛成、中国は棄権した。