発達障害の人が“違和感”を感じた時期を調査

 障害や福祉サービスに関する情報サイト「マナポッケ」を運営するmanabyが、「発達障害(ADHD・ASD)の方が違和感を感じた時期」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表しました。調査は、2023年12月、発達障害及びその傾向のある118人を対象にインターネット上で行われました。

 それによると、自身の違和感について、「社会人」と回答した人が最も多く40.7%という結果でした。

具体的な違和感は「コミュニケーションが上手く取れない」「ミスが多い」

 具体的な違和感についても質問したところ、1位に「コミュニケーションが上手く取れない(32.2%)」、2位「ミスが多い(28.8%)」、3位「曖昧な表現が理解できない(9.3%)」と続きました。

 1位の「コミュニケーションが上手く取れない」と回答した人は、
「友人やクラスメイトと話している時に空気が読めない発言をしてしまったり、自分だけ論点がずれていることがよくあったので、自分は他の人に比べると物の見方や考え方がおかしいのではないかと思い始めていた」
「小学校からの同級生を、ずっと同じあだ名で呼び続けており、それが相手が嫌がる呼び方とは指摘されるまで気づかなかった」
「悪気はないのに自分が友達と話していると、『なんでそんなひどいこと言うの」や「お前と話していると疲れるから嫌だ』とよく言われていた」
などの体験をコメントで寄せています。進学や就職などの環境の変化がきっかけで、「新しい人と馴染めない」「相手に伝えたいことが伝わらない」といった悩みが出てくるようです。

 2位の「ミスが多い」と回答した人は、
「仕事でのミスが多く、1週間位でクビになる事が続きました。5社ほどそういった事が続き、病院に行こうと思いました。ミスは人がやらない大きなミスが多く、会社に入っても迷惑かけてしまうばかりで、ちょっとおかしいなと感じました」
「ワーキングメモリがなく、短期記憶がとにかく苦手です。使っているもの(ボールペンやハサミなど)を適当なところに置いてそのまま存在を忘れたり、買い物すべきものをメモしたものの、そのメモを家に忘れてしまうことがよくあります。過集中や、先延ばしクセもひどいです」
「小さいころからぼーっとしがちでチェックを何度しても忘れ物をしてしまい、ランドセルを背負い忘れたまま、下校し帰り道の半分くらいで違和感に気が付いた小学生の頃のエピソードが印象に残っています」
などのエピソードを明かしています。メモを残してもらう、LINEで送ってもらうなどといった工夫をされている方もおり、本人はミスをしないように努力をしていても、周囲の理解を得ることは難しく、自分で対策をすることが重要なようです。

 3位の「曖昧な表現が理解できない」とはどのような状況でしょうか。回答した人は、
「職場で上司から『適量コピーして』と指示された際、具体的な枚数を聞き煙たがれた事が何度かありました。
またミスが多く派遣先をクビに近い形で契約満了になったことがありました」
「良いようにやっといて、とか自分が納得するまでやってとか、普通に考えたら等の表現で指示されるとどうしたら良いのかわからないので、例えば掃除だと延々と終わらず、もしくは逆に始められない」
「待ち合わせなどで、たくさんの情報があると何を優先して良いかわからなくなる。例えば、二子玉川に行くから、乗る駅の旗の台で待ち合わせと聞くと、二子玉川駅で待ち合わせと間違えてしまう」
など、特に「適当に」「ちょっと」などといった人によって程度が異なる言葉が理解できず、会社での上司の曖昧な指示を理解できないせいで、上司から怒られてしまうというコメントも多数ありました。

違和感を感じてもすぐ受診には至らないという結果

 違和感を感じている人は、実際に受診したのでしょうか。「際に病院に行った時期はいつですか?」という質問に対し、最も多いのが「違和感に気づいてから3年以上(36.4%)」でした。次いで「まだ行っていない」が20.3%という結果でした。

 3年以上で病院に行った人は、
「多分発達障害だろうとは思っていたが、どんな治療をするのか不安だったし、実生活で我慢できるところまで我慢しようと思っていたら、職場の人間関係で上手く対処できずにうつ病になってしまったのでようやく受診した」
「出勤時にベッドから起き上がれなくなり、自然と涙が出たのでまず鬱かもしれないと家族から諭され病院に行き、検査をしたら発達障害ということが分かりました」
などとコメントを寄せています。

「病院に行っていない」と答えた人の中には「診断を受けてしまうことが怖い」「何から始めて良いのか分からない」や「周囲の理解が得られず病院に行けない」というコメントがありました。一方で、病院に行き診断を受けた人の中には「発達障害と分かったことで特性と向き合いやすくなった」と前向きなコメントもありました。

(LASISA編集部)