高速道路の通行料金の支払いでETCを利用しているという人も多くいることでしょう。一方で、クルマに搭載されている一部のETC車載器が今後、使用不可になるといいます。これは一体どういうことなのでしょうか。

ETC車載器が使えなくなる!? 次に待つ「2030年問題」も

 高速道路のETCサービスは、料金所を通過するだけで自動で通行料の算出や記録が行われる便利なシステムで、利用率は9割近くと多くの人が利用しています。

 一方でETCサービスを利用するためのETC車載器が、機種によって今後使用不可になるケースがあるといいます。一体どういうことなのでしょうか。

 ETCは車載器と料金所ゲートとの間で、無線通信という電波を使って通行料金の支払いに必要なデータをやりとりしています。

 そんななか、電波法関連法令の改正によって、一部のETC車載器が使用できなくなることがアナウンスされています。

 総務省によれば、不必要な電波(不要電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るため、WRC(世界無線通信会議)において、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則(RR)の改正を実施。

 現在では、電波障害の原因となるスプリアス(不要電波)をできる限り低減するため、法令により発射強度の許容値が規定されています。

 このため、改正された規定外の古い車載器(旧スプリアス規格機器)を搭載したままでは、電波法に違反する可能性があるといいます。

 この問題は2018年に「一部のETC車載器が、2022年12月1日以降使用できなくなる」と発表されており、一部では「ETC2022年問題」と呼ばれていました。

 しかし、新型コロナウイルス感染症などの影響から、無線設備の製造や移行作業に支障が生じていることが考慮され、新スプリアス規格への移行期間が「当分の間」と改められました。

 なお、使えなくなるのは「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け、製造されたETC車載器」としています。

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 古い車載器の移行期間が当分の間となりドライバーは一安心と思いきや、次に待つ「2030年問題」も差し迫っています。

 国土交通省では、ETC料金所や車載器などの盗聴や改竄などの不正を防止するために、情報安全確保の規格としてセキュリティ規格を設けています。

 そんななか、昨今の情報機器の能力向上に伴うセキュリティ脅威の増大への備えとして、セキュリティ機能を向上させるための規格変更をおこなうことを明らかにしています。

 ただし、現時点で現行のセキュリティ(車載器、カード)において問題が発生したわけではなく、あくまで備えとしての変更です。

 セキュリティ規格変更が最長2030年までにおこなわれることから、一部では「2030年問題」と呼ばれています。

 従来のセキュリティ規格に対応した車載器は、セキュリティ的に大きな問題が発生しなければ最長2030年まで使える予定ですが、問題が発生すれば前倒しとなる可能性があるといいます。

ETC車載器が使えなくなる!? 確認方法とは

 では、自身が利用しているETC車載器がセキュリティ規格に対応しているかどうか、どのように確認すれば良いのでしょうか。

 ETC車載器には「車載器管理番号」という19桁の番号が車載器ごとに割り振られており、車載器管理番号が「1」から始まる機種は新規格に対応しているため、そのまま使用可能ですが、「0」から始まる場合は旧規格のものなので買い替えが必要です。

 車載器管理番号は、車載器購入時の取扱説明書や保証書、車載器のセットアップをした際の申込書や証明書のほか、車載器本体への刻印などで確認することができます。

 ほかにも、車載器本体に記載された識別マークでも確認可能な場合があります。

 たとえば、新セキュリティ規格に対応した車載器は、ETCカードの差し込み口などに「●●●」というマークがありますが、旧規格ではそのマークがありません。

 また、「ETC2.0」のロゴマークがついた車載器のうち、「■」のマークがついていないものは新規格に適合しています。

 ただし、「ETC2.0」のロゴがあり「■」のマークもついているものは旧規格の機種であるため、買い替えが必要です。

 これらの表示が見つけられない場合や、新セキュリティ規格に対応しているか判断がつかない場合には、購入した販売店やセットアップを依頼した店舗などに確認してみるのが良いといえます。

 2030年問題の直前になって慌てないように、今から自身のETC車載器が新規格に対応しているものかどうか、事前にチェックしておくと安心といえます。