ChatGPTが生成AIの唯一の選択肢ではなくなりつつあります。GoogleやMicrosoftが開発に熱を上げる中、Anthropicの「Claude」に注目が集まりつつあります。その理由は、生成する日本語の精度。

今回は、Claude AIとChatGPTを比較しながら、それぞれの長所を活かした使い方をご紹介します。

Claude AIとは

Anthropicは、もともとOpenAIにいたメンバーが共同で立ち上げたAIスタートアップ企業です。OpenAIよりも厳しいAI倫理を取り入れている点は、特に注目すべきでしょう。

Anthropic版ChatGPTとも言えるClaude AIの最新モデルは、「Claude 3」です。ChatGPT同様、Claude 3も特殊な大規模言語モデル(LLM)がベースになったAIチャットボットです。

Claude AIは、ChatGPTのいちばんのライバルでしょう。

厳密にはClaudeには、「Claude 1」と「Claude 2」「Claude Instant」という3つのバージョンがあって、それに最新版の「Claude 3」が加わりました。

各バージョンは基本的には似ていますが、言語モデルの能力にはそれぞれ微妙な違いがあります。

Claudeは、ChatGPTと同じことができるのか

ChatGPTを使ったことがある人なら、Claudeも使いこなせるでしょう。簡単なテキストボックスがあって、そこに質問を入力すると、システムが答えてくれる仕組みです。

実にシンプルなつくりで、Claudeが出した回答をコピーしたり、質問し直したり、さらに詳しい情報を求めたりできます。ChatGPTによく似ているのです。

つまり、ChatGPTに可能な多くのことが、Claudeでも可能なわけです。

ChatGPTとの違い

ただし、いくつか制約があります。現在ChatGPTはインターネットにアクセスしていますが、Claudeは、Anthropicの開発者が用意した情報のみで訓練されています。

Anthropicの最新のコメントによると、その情報は2023年8月までに限られています。ですから、その範囲を超えることは、Claudeにはわからないのです。

Claudeは、テキストを解釈して画像を生成することもできません。画像生成は、ChatGPTでは、専用AI「DALL-E 3」のおかげで可能になった機能です。

もちろんAnthropicは、ChatGPTと同様のモデルを出しています。「Claude Instant」もそのひとつで、安価で処理スピードも速いのが魅力です。旧バージョンであるClaude 2は、ChatGPTの「GPT-4」と同等だとみなされています。

一方、先ごろAnthropicが発表したところによると、Claude 3は、数々の分野でGPT-4を上回っているようです。

Claudeの価格は

Claude AIは無料で試せます。ただし無料だと、質問の数や、チャットボットが処理できるデータ量に制限があります。「Claude Pro」という有料プランもあり、登録すれば、月20ドル(約3000円)でデータ量を増やすことができます。

ChatGPTの有料プランとは異なり、Claudeは無料版でも最新版が使えます。けれどもデータ量を増やすことはできませんし、登録すれば可能になる優先的アクセスもありません。

Claude vs. ChatGPT無料版の比較

ChatGPTと同様、Claudeにも無料版があります。AIチャットボットを試すなら、どちらを選んでも十分役に立つでしょう。しかし、さまざまな用途を考えているなら、有料プランを検討する価値はあります。

Claude 3の特徴

Claudeでは、無料版であっても高性能なClaude 3が使えますが、かなりの制限を伴います。例えば、10メガバイトを超えるPDFは処理できません。そしてその制限は、そのときのClaudeの容量に左右されます。

具体的にどれくらい使ったら制限されるのかという数値は公開されていませんが、CNBCでは、だいたい4時間につき要約5件が限度と見積もっています。結局は、あなたが利用するときに、何人のユーザーがシステムを使っているかによるわけです。

Claude 3の素晴らしいところは、無料版で試すことができる新しい機能がたくさんあること。複数言語への対応、画像を理解して分析できる「Vision機能」、プロンプトのつくりやすさ、などがあげられます。

ChatGPTの特徴

一方、ChatGPT無料版を使うなら、GPT-3.5に限定されます。GPT-3.5も信頼できるモデルです。使用量に上限はありません。つまり、お金をまったく払わずに好きなだけ使うことができるのです。

とはいえ、アクセスが極端に集中していると、何らかの制限がかかり、質問しても長い時間がかかったり、使用頻度が高いとエラーが返ってきたりすることがあります。

また、無料アカウントは、アクセスが集中する特定の時間帯には使えないこともあります。サーバーの負荷を軽減するため、OpenAIがときどき無料アカウントのアクセスを制限するからです。

ほかにも、GPT-3.5はGPT-4よりもハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)を起こしやすいという点を頭に入れておくことも重要です。提供されるすべての情報が正しいかどうか、必ず確認しましょう(GPT-3.5に限らず、AIが生成する重要な情報は常に再確認すべきですが)。

Claude AIは、ChatGPTより正確か

情報の精度は、ClaudeやChatGPTを動かすAIの言語モデルが、依然として苦労している領域です。

これらの言語モデルが正確な情報を提供することは可能ですし、膨大なデータで訓練されてもいますが、勝手に事実やデータを生成する「ハルシネーション」を起こすことも知られているのです。

結局私の経験から言うと、要約するときに、ClaudeはChatGPTよりも事実に基づいた正確な情報を提供する傾向にあります。

ただしそれは、非常に小規模な一部のデータに基づいた見解です。最近の出来事について会話したい場合は、Claudeのデータははなはだ古いものです。インターネットにも自由にアクセスできません。

ですから、ハルシネーションを起こしたり、悪質な情報源からデータをもってきたりする可能性が低くてありがたいのですが、良質な情報源からも締め出されてしまうのは非常に残念です。

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Source: Anthropic, Claude