4月にピカピカの新入生を見かけると、初々しい姿を微笑ましく思う一方で、「頭がやわらかい学生のうちにもっと勉強しておけばよかったなぁ」なんて思いが頭をよぎります。

しかしそんな思いは不要どころか、「私たち大人の脳は、学生時代の脳に比べて圧倒的に調子がいい」と説くのは脳内科医の加藤俊徳さん

著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)より、学び直したい大人のための「脳の使い方」を紹介します。

朗報!脳のピークは30代で、その後も成長しつづける

学生時代は一夜漬けでなんとかなったし、教科書の丸暗記もできたのに、大人になってからは何も頭に入ってこない…」。そんなジレンマを抱えながら、昔のやり方を思い出して同じように勉強しようとしていませんか?

そこへ、「大人には大人の勉強法がある」とする加藤さん。さらに「頭がよくなるチャンスは、大人になってからのほうが多い」ともつづっています。なぜなら、学生時代の脳は未熟で未発達で、脳が持っている本来の力を発揮できない状態だったから

脳の働き方から言えば、大人になってからのほうが断然よく働きますし、記憶力、判断力、決断力など、あらゆる面から見ても、「学生脳」より「大人脳」の方がレベルが上。(中略)頭がよくなるチャンスは、大人になってからのほうが多いのです。

(『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方27・29ページ)

大切なのは、学生のときにしていた勉強法はいったんリセットすること。学生時代に自己流の学び方でいい成績を取ってきた人は、その学び方に固執してしまうため、大人になってから勉強法につまずいてしまう傾向にあるそうです。

加藤さんによれば、脳は生涯にわたって成長し続けるものであり、使った部位が成長するという特性があるのだそうです。

さらに、脳内科医として多くの脳を見てきた加藤さんが実感するのは「脳が個性をより光らせるのは30代以降。脳のピークは30〜50代」ということ。これは励みになりますね。学ばねばもったいないという気持ちも湧いてきます。

では、加藤さんの言う「大人の勉強法」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

3つ以上の「脳番地」を組み合わせることがコツ

本書では、脳を「思考系」「理解系」「記憶系」「感情系」「伝達系」「運動系」「視覚系」「聴覚系」という働きに応じた8つの「脳番地」に分けて解説されています。

加藤さんいわく「この8つの特性を理解し、各脳番地の連携を強化し、自分らしく使いこなしていくことで、学ぶ力が成長する」。このことを前提に、大人脳におすすめの勉強法を紹介していきましょう。

1. 暗記に頼らない

先ほど、「学生のときにしていた勉強法はいったんリセットする必要がある」とお伝えしましたが、これがまさに「暗記に頼らない」ということ。

学生時代にしていた「丸暗記」は、記憶系脳番地を単独で働かせていた学び方。しかし大人脳の記憶系脳番地は、単独ではなかなか働かなくなってしまいます。

そこで大切になるのが、「覚えよう」とするのではなく「理解しよう」と頭を働かせること。記憶系単独ではなく、思考系と理解系の脳番地を組み合わせて働かせることがポイントになります。

少なくとも3つ以上の脳番地を動かすことで、脳はフル回転しはじめます。ネットワークを強化すればするほど脳全体の機能も向上させることができるのです。

(『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』101ページ)

2. ぼーっとしたら運動を

考えが煮詰まったとき、ちょっと散歩したりするといいアイデアが浮かんだりしますね。ただ気分がリフレッシュしただけではなく、運動系の脳番地を働かせたことに理由があるのだそうです。

本書によれば、運動系脳番地は「すべての脳番地のエネルギーの源」。「手足を動かすだけでなく、ものを見るときや聞くときにも筋肉が働くため、見聞きするのも運動系脳番地の役目」ともつづられています。

頭がぼーっとするときには、まず運動することが大切。そうすることで、視覚系・思考系の脳番地も動き出し、連携して脳が成長していくのだそうです。

3. 喜怒哀楽で記憶力は高まる

何気なく入ったお店で食べたランチは忘れてしまうのに、ずっと行きたかったお店や大切な人と過ごしたランチタイムなどは忘れません。

こういった楽しい、嬉しいはもちろん、怒りや悲しみ、つまり「喜怒哀楽」の感情がともなう記憶は残りやすいのが特徴。「エピソード記憶」という言葉を耳にしたこともあるかもしれません。

つまり、エピソード記憶は無条件で長期記憶へと送られる仕組みになっているのです。これを活かさない手はありません。脳の特性を活かすカギは、感情を動かすこと。勉強に感情がともなうようにするだけで、記憶力はぐんとアップします!

(『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』109ページ)

覚えたいことを感情と結びつけるのもいいですが、ワクワクした気持ちで勉強に向かうことでも効果はあるそうです。

本書は、難しい話をときにコミカルなマンガを交えながら紹介してくれる一冊。上記の3つを試してみて、もっと勉強したいなと思ったら、ワクワクした気持ちでぜひ手にとってみてください。

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Source: サンマーク出版