株価は史上最高値を更新したものの庶民にとって好景気の実感はなく、政治に目をやれば裏金問題などで政権への不信が高まるばかりの日本。そんな我が国の姿は、海外のメディアにどのように映っているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ニューヨークタイムズが日本を取り上げた記事を翻訳して紹介。さらに同紙の「日本への皮肉」とも取れる箇所に注目しています。

ニューヨークタイムズが見る日本

GDPでドイツにも抜かれて4位になった日本、世界はどう見ているのでしょうか?

紹介するのはニューヨークタイムズ2024年2月29日の記事の抜粋要約です。

悪いニュースが良いニュースとなる日本へようこそ

 

数十年間も成長しなかった経済は今も不況に陥っている。

 

人口は減少を続け昨年の出生数は頭打ちとなった。政治はスキャンダルにまみれ不人気になっても、ひとつの政党が政権を掌握し凍りついている。

 

しかし心配はいらない。ここは日本だ。

 

周りを見てみよう。日本には、ゴミの山、穴ぼこ、ピケの列など、社会的不和の兆候はほとんどない。この国は驚くほど安定し団結している。

 

「しょうがない」は国民的な口癖のようなものだ。

 

人々が平然としている理由は簡単だ。失業率は低く、電車は定刻通りに運行し、春には桜が咲く。観光客は神社や商店街に殺到し、株式市場は史上最高値を更新している。

 

多少のインフレがあっても、一杯のラーメンが7ドル以下、定食が12ドル程度で食べられる。東京でも住宅は一般的に手頃で、誰もが国民健康保険に加入している。

 

犯罪も少ない。2022年、日本全土で銃による殺傷事件はわずか3件だった。レストランで携帯電話を忘れても、戻ってきたらそこにある可能性が高い。

解説

とくに最後の安全性については本当に特筆すべきレベルです。

米国においてはディズニーランドの中でしかない安心感と清潔感が日本全体にあります。

このような感覚は世界中にありません。

しかしながら、多くの日本人が認識しているように問題もあります。

それでも、日本の平穏な表面の下には、多くの根強い問題が残っている。

 

その激しい労働文化と社会的プレッシャーにより、国連の年次報告書によれば、日本は先進国の中で最も不幸な国のひとつであり、自殺は大きな懸念事項である。

 

男女不平等は根深く、変化が遅れており、ひとり親世帯の貧困率は裕福な国の中で最も高い。農村部は急速に空洞化し、高齢化によって年金や介護の負担はますます増えるだろう。

 

来年、日本では5人に1人近くが75歳以上となる。移民の受け入れに苦労している日本では、労働力不足がますます露呈することになる。

解説

上記の問題、日本も認識しています。しかしながら改革は進んでいません。政治については以下のようにニューヨークタイムズが述べています。

自民党内のいくつかの派閥が、政治資金集めのためのチケット販売で得た収益の全額を計上していなかったという疑惑が、昨年秋の終わりに浮上し始めた。

 

場合によっては、国会議員がその売り上げの一部からキックバックを受け取っていたようで、検察は3人の議員を政治資金規正法違反で起訴した。

 

しかし、政治家の豪勢な汚職行為が非難される他国とは異なり、日本のメディアは選挙運動用の贈答品や会食について比較的地味な証拠を掘り起こしている。

 

一部の報道では、ある議員が政治資金を使って本を購入した可能性を示唆している。

解説

パーティー券問題は確かに重要でしょう。しかし、TVや新聞が連日報道するほどの問題かと思います。

本当に注目し、国会で討議すべき事が他に山ほどあるでしょう。

引用記事の最後の「政治資金を使って本を購入した可能性を示唆している」との文言は、「こんな事を問題にしているなんで、本当に日本は平和だな」という皮肉が聞こえてきます。

 

(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年3月3日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、お楽しみ下さい)

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