意図的に隠されている例も…? 性別不詳の人気キャラクター

 マンガやアニメに性別不詳のキャラクターが登場すると、やはり男性か女性か気になってしまうものです。性別などキャラクターの魅力のごく一部でしかないのですが、考察の余地があるためファンの間で議論が盛り上がることも少なくありません。

 例えば『進撃の巨人』のハンジ・ゾエは、性別をめぐって長らく議論が繰り広げられてきたキャラクターです。原作においてハンジは、男性、女性どちらとも取れるようなビジュアルで描かれており、作中でも性別は明言されませんでした。

 過去に作者の諫山創先生はファンからハンジの性別を問われ、「明言しない方がよさそうだと確信しました」とブログで言及したことがあります。また同作の担当編集者も、諫山先生からハンジの性別について「どっちでも大丈夫」という回答をもらったと「X(旧:Twitter)」で明かしています。

 もしかしたら諫山先生のなかには初期設定があったものの、ファンからの反響を見て深く言及しない方向にシフトしたのかもしれません。一方で、アニメ版や実写版のハンジは、明らかに女性として描かれていました。ここから風向きが変わったようにも思えます。

 のちに諫山先生は『月刊 進撃の巨人 公式フィギュアコレクション』のスペシャルインタビューにて、アニメや実写ではハンジを「女性」という設定にしたと明かしました。映像化作品に関しては、性別を明確にしておいた方が好都合だと考えたのかもしれません。

 性別不詳ということで大きな注目を集めていたキャラクターといえば、『烈火の炎』の葵もそのひとりでしょう。葵は中性的な容姿をしており、作中ではスカートを履いた女子高生姿を披露したこともあります。そのため、主人公の花菱烈火も葵を女性だと思っていましたが、本人が「体は男……なのかな」などと発言しており、性別に関してはずっと曖昧にされてきました。

 ちなみに作者の安西信行先生は、以前、X(旧:Twitter)で葵に関して「性別を良く聞かれましたが奴の発言に答えあります」と言及したことがあります。そのためファンの間では「体は男……なのかな」という葵の発言がそのまま答えだったのではないかと考察されているようです。ただ葵は自分でも性別をよく分かっていないようなので、不明ということにしておくのがいいのかもしれません。

 そしてここ最近、『呪術廻戦』の裏梅(うらうめ)も性別について話題を呼びました。裏梅は白いおかっぱのような髪型と和服姿が特徴的で、ぱっと見は端正な顔立ちをした女性のようですが、いまだ性別は明言されていません。

 アニメでイケボに定評のある女性声優の斎賀みつきさんが演じたことにより、さらに中性的な雰囲気が強まりました。ところがコミックス25巻に収録されたエピソードで、裏梅の受肉体の名前が「氷見汐梨」だと判明します。どう見ても女性の名前なので、「裏梅=女性」説が一気に有力になりました。

 ただ仮に氷見汐梨が女性であったとしても、彼女の身体で現代に蘇った裏梅の元の性別も女性だったかは分かりません。男性でありながら、女性の肉体に受肉した可能性も十分にあるでしょう。まだまだ裏梅の性別に関する考察は続きそうです。

 ときに本当の性別が隠されることで、それが個性や魅力になっている例も少なくありません。もはや性別不詳なキャラクターは、ツンデレなどと同じようなひとつの「属性」といっても過言ではないほど人気を確立しているのではないでしょうか。