BMWとベンツは、ともにドイツの高級車ブランドとして人気です。両ブランドの傾向や人気車種を徹底比較し、違いを解説します。

BMWとベンツの違いとは

同じような価格帯の車種を数多く販売しているBMWとベンツ。しかし両ブランドでは、開発において重視しているポイントが異なります。

▽走行性能の高さを重視するBMW

BMWは「駆けぬける歓び(Freude am Fahren)」をスローガンに、走行性重視の自動車開発を行っています。

BMW車はパワーや加速力に優れるだけでなく、ハンドリングやコーナリングの性能も秀逸。そのため運転好きに人気のブランドです。またベンツに比べると、若年層からの支持も厚い傾向があります。

▽総合品質を重視するベンツ

ベンツのスローガンで有名なのは、ダイムラー創始者のモットーでもあった「最善か、無か」という言葉。

上質さや乗り心地、安全性などあらゆる点で妥協せず、総合力の高さで勝負しているのがベンツの魅力と言えます。特に、快適性重視の人や高級車を所有するステータスを魅力に感じている人からの支持が厚いです。

BMW vs. ベンツ徹底比較

ここからは、高級車ブランドとしてBMWとベンツの「どちらの方が魅力的なのか」をさまざまな視点で比較します。

▽比較① 歴史の古さ

BMWの創業年:1916年
ベンツの創業年:1926年

創業年で比べると、BMWの方が10年早く誕生しています。しかしBMWは創業当初航空機の開発を行っており、車を先に開発したのはベンツです。そのため「ベンツの方が歴史が古い」と考える人も、少なくありません。

▽比較②ブランドイメージ

株式会社イードの調査によると、BMWとベンツはともに「信頼できる高級車ブランド」と認知されている傾向があります。ただしBMWの方がベンツより「親しみがある」と考えている消費者が多く、「購入を検討しても良い海外ブランド」でも最多票を集めていました。

一方、同調査でベンツはBMW以上に「信頼できる」と認知されていました。また他の多くの調査でも「高級車と言えばベンツ」と考えられている傾向があり、「ステータス(格)」の面ではベンツに軍配が上がるようです。

※参考:株式会社イード「海外自動車のブランドイメージ調査」

▽比較③ 新車販売台数

【BMW】
世界販売台数:※2022年 208万9,801台
国内販売台数:※2022年 3万0887台

【ベンツ】
世界販売台数:※2022年 208万5,965台
国内販売台数:※2022年 5万2,391台

新車の販売台数を見ると、世界的にはBMWとベンツでほぼ同数に近い台数を販売しています。僅かながらにBMWの方が多い程度です。

一方、国内での販売台数を見るとベンツの方が人気です。 これは一つに、経済的に余裕のある中年期以降の世代でベンツの人気が高いことが理由と考えられます。

▽比較④ 車両価格

【BMW】
最低価格:398万円 ※1シリーズ(ハッチバック)
最高価格:2,209万円 ※i7(EVセダン)
最上級セダンの価格:1,554万円〜 ※7シリーズ

【ベンツ】
最低価格:498万円 ※Aクラス(ハッチバック)
最高価格:3,576万円 ※Sクラス(セダン)
最上級セダンの価格 1,469万円〜 ※Sクラス

車両価格は、全体的にBMWよりベンツの方が高価な傾向があります。ただし最上級セダン(廉価グレード)の価格はBMWの方が高価であり、一概に「ベンツの方が高い」とも言えません。

▽比較⑤ 走行性能

【BMW/7シリーズ ※740i Excellence】
搭載エンジン:直列6気筒
最高出力:381PS
最大トルク:520Nm

【ベンツ/Sクラス ※S450d 4MATIC】
搭載エンジン:直列6気筒
最高出力:367PS
最大トルク:750Nm

7シリーズとSクラス(ともに廉価グレード)で最高出力と最大トルクを比較すると、意外にも最大トルクはSクラスの方が優秀。他の車種で比較しても、馬力とトルクに関してはベンツが上回ることが多いです。

ただし走行性能においては、ハンドリングやコーナリングの性能も重要です。例えば過去のレビューで、クルマ評論家の大岡智彦氏はBMW1シリーズとベンツAクラスを以下のように評しています。

   ◇   ◇

(1シリーズの走りで)特に驚いたのはハンドリングだ。FRモデルと同等とまではいかないまでも、機敏さと正確さは「まさにBMW」といえるもの。 (中略)1シリーズとAクラスの車両価格はほぼ同等レベルということを考えると、コストのかかるマルチリンク式サスペンションを採用した1シリーズの方がコスパに優れ、走りもよいという判断になる。

▽比較⑥ デザイン性

デザインの中でまず目を引くのが、フロントグリルです。 BMWは歴史的に左右対称のキドニーグリルを採用しています。以前はグリルが大きく迫力系の印象でしたが、近年は中央部分にシンプルにまとめる傾向があります。

一方、ベンツが近年採用しているのはダイヤモンドメッシュグリル。若者を中心に「BMWの方がスタイリッシュ」という声もありますが、現在のベンツは顧客層の拡大に力を入れており、高級感とともに華やかさのあるデザインになっています。

インテリアは、BMWの方がよりシンプルに仕上げる傾向があります。スイッチ類は極力減らし、ダイヤルの回転などで操作するような仕組みが主流です。またエアコンの噴出口などもシンプルなデザインとなっています。

これに対してかつてのベンツ車はスイッチが多く、「スイッチ1つで何でも解決できる」という利便性がある反面、ゴチャゴチャして見えるのが欠点でした。しかし近年はベンツ車もスイッチが減っています。

同サイズの人気車種比較

ここからは、同セグメントの人気車種を画像と車両価格、主要諸元などで比較します。

※比較するのは各車種の廉価グレードです。また新車時価格や燃費情報等は2024年2月10日時点のメーカー公式サイトより、中古車相場はガリバーの車カタログより引用しています。

▽【王道セダン】BMW3シリーズ vs. ベンツCクラス

【BMW 3シリーズ ※318i Standard】
新車時価格:568万円
中古車相場:9.8万円〜878.4万円
駆動方式:後輪駆動
全体寸法:全長4,720mm 全幅1,825mm 全高1,440mm
最高出力:156PS
最大トルク:250Nm
排気量:1,998cc
燃費(WLTCモード):13.0km/L ※ハイオク

【ベンツ Cクラス ※C200 AVANTGARDE】
新車時価格:695万円
中古車相場:19.8万円〜2,198万円
駆動方式:後輪駆動
全体寸法:全長4,755mm 全幅1,820mm 全高1,435mm
最高出力:204PS
最大トルク:300Nm
排気量:1,494cc
燃費(WLTCモード):14.5km/L ※ハイオク

現行の3シリーズは2019年に、Cクラスは2021年フルモデルチェンジしています。伸びやかな加速やハンドリングのキレといった点では3シリーズが人気です。一方Cクラスは価格が圧倒的に高いものの、モーター搭載でハイパワーとなっており、最新の安全装備も搭載しています。

両者で迷った場合は「価格・走る楽しさ」と「先進性・安全性」のどちらを重視するか考えて決めましょう。

▽【小型SUV】BMW X1 vs. ベンツGLA

【BMW X1 ※X1 xDrive20i xLine】
新車時価格:604万円
中古車相場:30万円〜598万円
駆動方式:4輪駆動
全体寸法:全長4,500mm 全幅1,835mm 全高1,645mm
最高出力:204PS
最大トルク:300Nm
排気量:1,998cc
燃費(WLTCモード):12.9km/L ※ハイオク

【ベンツ GLA ※GLA180】
新車時価格:599万円
中古車相場:81.6万円〜680.7万円
駆動方式:前輪駆動
全体寸法:全長4,415mm 全幅1,835mm 全高1,620mm
最高出力:136PS
最大トルク:200Nm
排気量:1,331cc
燃費(WLTCモード):14.0km/L ※ハイオク

コンパクトSUVを新車で購入するのであれば、現在はX1がおすすめです。X1はGLAと比べてハイパワーで、4輪駆動も搭載しています。また車両価格にも殆ど差がありません。2023年にフルモデルチェンジし、その走行性能の高さなどから2023-2024インポート・カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。

一方GLAも2023年秋にマイナーチェンジしています。GLAは排気量が小さく、燃費も良いので維持費が安く済むでしょう。

▽【ミドルサイズSUV】BMW X3 vs. ベンツGLC

【BMW X3 ※X3 xDrive20d Standard】
新車時価格:790万円
中古車相場:39万円〜870万円
駆動方式:4輪駆動
全体寸法:全長4,720mm 全幅1,890mm 全高1,675mm
最高出力:190PS
最大トルク:400Nm
排気量:1,995cc
燃費(WLTCモード):14.5km/L ※ディーゼル

【ベンツ GLC ※GLC220d 4MATIC】
新車時価格:839万円
中古車相場:168万円〜1,078万円
駆動方式:4輪駆動
全体寸法:全長4,720mm 全幅1,890mm 全高1,640mm
最高出力:197PS
最大トルク:440Nm
排気量:1,992cc
燃費(WLTCモード):18.1km/L ※ディーゼル

X3とGLCの廉価グレードでは車両価格に約50万円の差があるものの、GLCの方がハイパワーで低燃費です。2023年にフルモデルチェンジしたばかりで、最新装備も搭載されています。また乗り心地も柔らかく、エアサスペンションで見事に凹凸を吸収してくれます。一方X3は乗り味が硬いものの、ディーゼル車とは思えない静粛性の高さや伸びやかな加速が魅力です。

SUVらしいスポーティーさ重視であればX3、快適性重視であればGLCをお勧めします。

BMWとベンツは結局どっちがいい?

BMWとベンツは車に求めている方向性が異なり、一概にどちらが良いとは言えません。ただし、方向性が異なるからこそ「どのような人に合っているか」は明確です。

▽BMWがおすすめな人

以下のような人には、BMWがおすすめです。

・車を操作するのが好き
・車にスポーティーさを求める

BMWは幅広い世代に人気があり、特に「積極的に運転を楽しみたい」という人におすすめです。高速走行などでは伸びのある加速を楽しむことができるでしょう。

▽ベンツがおすすめな人

以下のような人には、ベンツがおすすめです。

・高級車としてのステータスを求める
・高級車は欲しいが、運転は特別好きでない
・乗り心地など快適性を重視

少なくとも日本においては、高級車ブランドとしての格は「BMWよりベンツの方が上」という見方が多いです。またBMWは走行性重視で、乗り心地は硬め。ベンツ車の方が快適な傾向があります。

中古で「こだわりの一台」を買う手も

BMWやベンツは高価格の車両が多く、予算オーバーのケースも少なくありません。こうした場合は、中古での購入も検討しましょう。

特に「高級車に乗ること」が目的の場合、中古であれば予算100〜200万円でも多くの選択肢があります。まずは自分の希望予算でどのような選択肢があるのか、在庫検索をしてみてください。

(まいどなニュース/norico)