米連邦最高裁は14日、半自動小銃に取り付けることで全自動銃並みの連射を可能にする銃床「バンプストック」の規制は違法だとの判断を示した。2017年に西部ネバダ州ラスベガスで計60人が犠牲になった銃乱射事件で使用されたことを受けて、トランプ前政権がバンプストックの販売・所持を禁止したが、今回の判断で銃規制が後退することになった。

 半自動小銃は1発ごとに1回引き金を引く必要があるが、バンプストックを付けると発射時の反動で次の引き金がほぼ自動的に引かれるため、連射が可能になる。前政権は18年、バンプストック付きの半自動小銃は、法律で販売・所持が禁止される機関銃(マシンガン)と同等だと解釈を変更した。しかし、バンプストックの元所有者が規制は違法だとして提訴した。

 最高裁は14日の判決で「バンプストックで発射間隔は短縮できるが、1発ごとに1回引き金を引く動きがあることに変わりはない」と指摘。法律で「1度引き金を引くことで自動的に連射できる武器」と定義された機関銃とは異なるとして、禁止措置は違法だとした。

 判決は、9人の判事のうち銃規制に慎重な保守派6人の多数意見だった。リベラル派の3判事は同調せず、ソトマイヨール判事は「多数意見の解釈は、法律の本来の目的に合致していない。バンプストックを付ければ(実態として)自動的に2発以上発射される。それは機関銃に他ならない」と指摘した。銃規制強化を掲げる民主党のバイデン大統領は14日の声明で「最高裁は重要な銃の安全規制を取り消した」と批判し、連邦議会にバンプストックの禁止法案を策定するよう求めた。

 米メディアによると、半自動小銃は熟練者でも1分間に発射できるのは180発程度だ。しかし、バンプストックを付けると、1分間に400〜800発の発射が可能で、全自動銃(700〜950発)に近づく。禁止前はバンプストックは数百ドルで購入可能で、08〜17年に約52万個が販売された。【ワシントン秋山信一】