「50代の男性です。幼い頃から最大の理解者だったはずの女性。しかし、その本心は違ったようです...」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?

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■多感だったあの頃、いつも僕らの味方だった彼女
友人の母、Aさんに関する話です。
Aさんは、私たちが子どもの頃からPTAの役員や子育て相談員の仕事を精力的にこなし、近所でよく知られた人でした。
その友人宅に遊びに行くたびに優しく声をかけてくれ、私たちは自分の親や教師には相談できないことも、Aさんに心を開いて話したものでした。
高校、大学と進学し、就職してからも、Aさんは私たちの良き理解者で相談相手でした。
「学校の成績は単なる一面」
「決まったレールに沿って生きるだけが人生ではない」
「人と同じでいる必要なんかない」
包容力のある言葉に、何度元気づけられたか分かりません。
私は親と喧嘩するといつも「〇〇のお母さんはそんなこと言わない!」と、Aさんの台詞を引用して反論したものでした。
成績が落ちて両親から叱られたとき、私の長所を褒めて慰めてくれたのもAさんでした。
そうやって救われた仲間は私のみならず、同級生の多くが「あいつのお母さんはいいよな」と口々に話していたのです。

■憧れていた女性の想定外の本音に唖然...
ところが、大人になった私が帰省して友人宅を訪れた日、そこには異様な雰囲気が漂っていました。
友人宅を訪れたと同時に、友人の妹と同い年くらいの男性が家から出て行きました。
どうも様子がおかしく、挨拶に出てきたAさんにも昔の明るさがありません。
いぶかしがりながら友人の部屋に入ると、彼は苦笑して、妹の結婚が破断になりそうだ、と言います。
「結婚相手の大学がだめらしい」
友人の妹が国立大学を卒業しているのに対して、相手は某私立大学出身とのこと。
その大学は、難関とは言われなくてもきちんと名前の通った立派な大学です。
「そんな大学卒業の人と結婚させるために、娘を国立大学に行かせたわけではない」
「国立大学を卒業したうちの娘と結婚しようなど、厚かましいにも程がある」
Aさんはそんなことを言って2人を追い返したのだそう。
学歴偏重というべきか、古い考えの方が一定数いるのは現実として理解しますが、私たちの心の支えだった、あのAさんがそんなことを言うなんて...私は言葉を失いました。
「外面と本音は違うんだ。お前らは知らないだろうけど、母さんは昔から何も変わってないよ」
友人はどこか寂しげに笑いました。
「俺なんか、テストの点が悪いといつも叩かれてたしな。うちにはそんな成績の子はいらないとか言われたよ」
私は言葉が出ませんでした。
「本音と建前は違うんだ。お前らにはあくまで外面で接していたからな」
その後、友人の妹はAさんの反対にもめげず結婚しましたが、結局3年ほどで離婚となってしまいました。
相手の男性は非常に謙虚な方で、Aさんとの関係改善にベストを尽くしていたそうですが、Aさんの度重なる冷たい仕打ちに、夫婦共々耐えられなくなったということです。
父親の血が混じっているからと、娘に幼い我が子の親権を放棄させたそうです。
その後、私の母がAさんに会った際にはこんな会話があったそうです。
「お孫さんのことは残念でしたね」
「出来の悪い子でしたから」
一体、赤ん坊のどこを見て「出来の悪い」と判断したのでしょう。
人間関係が壊れたわけでないので、友人の妹は定期的に元夫を訪れ、子どもに会っているようです。
それにしても人間の本質を見抜くのは難しいですね。