「『小さな暮らし』を選んだのは、終活のためではありません。これからも立ち止まらず、気持ちよく前に進むための方法なのです」と語る管理栄養士で料理研究家の村上祥子さん。今回は「小さな暮らしの10のルール」についてお聞きしました。

※この記事は月刊誌『毎日が発見』2022年5月号に掲載の情報を再構成したものです。
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余り野菜を一口大に切ってチン。水を加えて加熱し、みそを溶けばみそ汁に。
【ルール】料理は発想を変えて
少しずつ余った野菜や乾物。
ちゃんとした料理を作るにはそれぞれの量が足りない場合、合わせてみそ汁や鍋にしています。
組み合わせは自由自在。
意外なものの相性が良く、新しい味覚の発見にもなります。
変わり筑前煮。
野菜の種類は問いません。
大根、にんじん、生しいたけ、ブロッコリーの茎、じゃがいも、パプリカなど合わせて200gを一口大に切って耐熱ボウルに入れます。
みりん、しょうゆ各大さじ1、顆粒和風だし小さじ1/2 、ごま油小さじ1をボウルに入れた野菜にまぶします。
ふんわりラップをして600Wの電子レンジで4分加熱し、混ぜたらできあがり!
2人分の煮物ができます。
この煮物の半量に、水150mlを加えて2分加熱し、みそ適量を入れて混ぜれば、具だくさんみそ汁のできあがりです。
このように常識にとらわれない食材の使い方をすれば、食品を余らせることもありません。
新鮮な食材は、どんな組み合わせでもおいしくなります。
野菜だけでなく、練りものや豆腐、納豆、こんにゃくなども加えています。

【ルール】捨てられなくていい!
「小さな暮らし」を実践していても、なんでも捨てているわけではありません。
愛着のあるものは何十年も大切に使っています。
パールのネックレスは、三連のリング状に使えるように調整しました。
微妙な色の違いもミックスされてとてもきれいです。
そして使っていた母の想いも重なっています。
帽子も大好きで、昨年ラジオ出演したときに被っていったボルサリーノは、司会の立川志の輔さんに「おしゃれですねー」とほめられました。
この帽子は30年前に購入し、いまでも愛用しています。
黒のスパンコールが付いたニット帽は、20年も前に、生徒さんの結婚式で被ったもの。
風の強い日など、髪を押さえてくれ、重宝しています。
愛着のあるもの、思い出の詰まったもの、母の形見など捨てられないものもいっぱいあります。
このようなものは無理に捨てる必要はないと思います。
思い出の品々は、それにまつわる方たちの思い出とともに、大切に保管し、時折出してその方たちを偲ぶ。
そんなひとときも必要かな? と思っています。
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上・黒いボタンカバーと数珠。バッグの中に入れている。
下・母の形見の数本のパールのネックレス。2205_P052_03_W500.jpg



撮影/江口 拓(スタジオ COM)

<教えてくれた人>

管理栄養士 料理研究家
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん

福岡県生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。同大学内「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。