管理栄養士で料理研究家の村上祥子さん。82歳の現在も現役ではつらつと仕事をされています。その元気の源とは? 今回は村上さんが実践する「小さな暮らしのルール」についてお聞きしました。
※この記事は月刊誌『毎日が発見』2022年5月号に掲載の情報を再構成してお届けします。
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終活のためではなく
私は、27歳で仕事を始めて、現在80歳!(※)
新聞や月刊誌の連載、お料理教室、単行本の執筆、講演会など、毎日休む暇もなく働いています。
それでも病気知らず。
それというのも、三食しっかり食べ、家事をすることが運動の代わりになっているからです。
目標は1日1万歩。
それとトランポリンを100回飛ぶだけ。
外に出てウォーキングをするのではなく、料理の撮影や階段の拭き掃除などの家事をしていると自然に歩くことができます。
そして、3人の子どもを育て、両方の父の介護をし、夫を見送って、いまは一人暮らし。
そんな私の12時間働いても疲れない体を生み出しているのは、ほかでもない整理された「小さなキッチン」「小さな暮らし」なのです。
「小さな暮らし」とは、必要なものだけを持ち、居場所を与え、すぐ取り出せるようにすること。
探しものに時間をとられることなく、いつでも機嫌よくいられます。
人生は日々考え、頭に浮かんだ思いを整理しながら進みます。
「小さな暮らし」を選んだのは、終活のためではありません。
これからも立ち止まらず、気持ちよく前に進むための方法なのです。
そんな私の「小さな暮らし」のルールをお見せします。
※雑誌掲載時の年齢
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食器棚は、大工さんに2枚の板を取り付けてもらいました。お椀もお茶碗も2個ずつ。料理を盛り付けて食事をしたら、洗って元の場所に。
【ルール】探しものをしない見える収納
まず、見える収納にします。
そのために数は制限。
キッチン道具、食器、服、靴、全て見えるところに置いてあるので、すぐに取り出せます。
大切なことは数を制限すること。
見える収納といっても、多くのものから選ぶのは大変なこと。
置いてあるもの全てを把握することで、探しものをせず、すぐに取り出せ、時間に無駄が生じません。
ちなみにキッチン道具を置いているワゴンは美容院で使用されているもの。
その上に必要な調味料、木べらや箸などの調理に使う道具を厳選して置いています。
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調味料などを置いているワゴンはキャスター付き。美容師さんがドライヤーなどをのせているステンレス製。
食器は毎日使うものだけにして余分なものは処分しました。
服は30着。
普段着と仕事着の区別はなく、組み合わせで何通りにも着こなせるものを選んでそろえています。
そのため、少ない枚数でもおしゃれができます。
靴は4足のみ。
黒を主体に普通のパンプス、ショートブーツ、サンダル、おしゃれなパンプス。
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クローゼットには、服とベルト、バッグ、靴などを収納。

もう一つ大切なことは、ものの使い道を一つに限定しないことです。
一つのものを何通りにも使えれば、おのずとものの数は減っていきます。
例えばお風呂に入るときに使う浴用タオルは2枚だけ。
粗品でもらった工務店などの名が入った薄手のタオルです。
このタオルで体を洗い、浴室内で体をふき、洗った髪は、もう1枚の乾いたタオルでふきます。
タオルは二つ折りにして浴室の床に置いて、ぬれた足をふきます。
バスタオルはなし、足ふきマットもありません。
これらのタオルは汚れた衣類と一緒に洗濯機にポイ。
すぐに洗濯・脱水して浴室に干します。
こうすると、翌日には、乾いたタオルを使うことができます。
このように本当に必要でお気に入りのものだけにすると、選ぶ時間が省け、満足ができる生活を送ることができます。





撮影/江口 拓(スタジオ COM)

<教えてくれた人>

管理栄養士 料理研究家
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん

福岡県生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。同大学内「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。