2024年1月より、従来のNISAから制度が変更され「新NISA」としてスタートしました。興味はあるけれど「何から始めればいいのか分からない」なんて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)は、そのタイトルの通り、新NISAのことを分かりやすく解説しています。老後に向けて今のうちから準備しておきましょう!
※本記事は小林 亮平著の書籍『世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)
50〜60代におすすめの商品は?
リスクというと危険性のような意味合いで捉えがちですが、投資の世界では、得られるリターン(利益)の振れ幅のことを指します。
ここで、つみたて投資枠で選べる商品の中で、大まかなリスク別の投資信託を一例として紹介します。
高リスク商品は、ここまで紹介してきたeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が人気です。
もしくは米国株のみで運用したいなら、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選ぶといいでしょう。
中リスク商品は、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)という株式や債券、REIT(不動産投資信託)などでバランス良く構成されている投資信託がよく選ばれています。
ただ2020年のコロナショックの際、8資産均等型はREITの回復が鈍かったことで全世界株式以上に損失が大きくなった時もあったので注意しましょう。
低リスク商品は、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)がおすすめです。
つみたて投資枠では債券のみで運用する投資信託を選ぶことはできないのですが、この銘柄は債券が多めの構成になっているので、比較的値動きが安定していますね。

私は2020年の初めから、これら3銘柄に月1000円ずつ積立を行っていました。
2023年末で48カ月経ったのですが、値動きにだいぶ違いが出ています(図表参照)。
NISA167.jpgeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、コロナショック時に−16.11%と下落しましたが、その後は回復し、48カ月目には+44.64%と大きく上昇しました。
一方の三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)は、コロナショック時でも−4.01%と下落幅は小さかったのですが、48カ月目は+10.66%とそこまで上昇しませんでした。
この運用結果を踏まえ、50〜60代の方で安定的に運用していきたいなら、新NISAで債券重視の投資信託を選ぶのはアリだと思います。ただその場合、将来的なリターンはどうしても限られてしまうことも、併せて知っておくといいでしょう。
あとは50〜60代における銘柄選びの他の選択肢として、第2章で紹介した高配当株投資を検討するのもいいでしょう。国からの年金では足りない老後の生活費を、配当金で用意していく「じぶん年金」を作ることができますからね。
仮に新NISAの成長投資枠で高配当株投資を行った際、月○円の配当金を受け取るには、いくらの投資元本が必要かを考えてみましょう。
高配当ETFの代表格であるVYMなら、配当利回りは年3%が目安となります。
まず月5000円、つまり年間で6万円の配当金を受け取るなら、6万円÷3%=200万円の投資元本が必要です。次に月1万円、つまり年間で12万円の配当金を受け取るなら、12万円÷3%=400万円の投資元本が必要に。そして月2万円、年間で24万円の配当金を受け取るなら、24万円÷3%=800万円の投資元本が必要に。
最後に月3万円、年間で36万円の配当金を受け取るなら、36万円÷3%=1200万円の投資元本が必要となります。
そのため、新NISAの成長投資枠1200万円をすべて高配当株投資で埋めたなら、毎月3万円が税引き前で受け取れることになります。
ただ前述のように新NISAでは米国株・米国ETFへの配当金に対して国内課税(約20%)は非課税となりますが、米国課税(10%)はかかってきます。
そうすると、VYMから税引き前で3万円の配当金があっても、米国課税10%は引かれて、手元に残るのは月2万7000円になります。このようなイメージで、配当金をじぶん年金として、老後資金の足しに考えるといいでしょう。
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