【モデルプレス=2024/05/01】モデルプレスの独自企画「今月のカバーモデル」で5月のカバーモデルを担当したのは、5月3日公開の映画『バジーノイズ』で桜田ひよりとW主演を務めるグローバルボーイズグループのJO1(ジェイオーワン)の川西拓実(かわにし・たくみ/24)。「最初に原作を読んだときは『昔の僕だ』と思いました」と語るほど共感した自身の役柄とその理由、内に閉じこもっていた過去に“窓ガラスを割ってくれた”JO1メンバーの行動とは?初主演映画にひたむきに向き合った撮影期間も振り返った。
◆川西拓実&桜田ひよりW主演「バジーノイズ」
今作は、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館刊)で連載開始直後から、その登場人物たちの心理描写のリアルさ、DTM(デスクトップミュージック)を題材に誌面を飛び越えてくるかのような独特な音楽表現とタイムリーなテーマ性でSNSを中心に熱い支持と共感を集め、従来の音楽マンガとは全く違った、デジタルネイティブ世代における新しい音楽コミックスとして話題を呼んだむつき潤作の同名コミックを、日本中に社会現象とも言える人気を巻き起こしたドラマ「silent」監督の風間太樹によって、実写映画化。
映画初主演の川西は、人とかかわることを必要とせず、たったひとつの“すきなもの”である音楽をPCで作り、1人奏でるだけのシンプルな生活を送っている清澄(きよすみ)を演じる。桜田が、自分の気持ちに素直に生き、清澄の閉じた世界に強烈なノイズが流れ込むきっかけとなる潮(うしお)を演じる。
◆JO1川西拓実、音楽×映像の念願叶う
プロデューサー曰く、JO1のYouTubeコンテンツにあった自分たちで曲を作る動画の中で、恥ずかしそうに楽曲をメンバーに披露する川西の姿が清澄のイメージと重なり、オファーを決定。脚本が完成する前の早い段階でオファーを受けた川西は原作を読み、そのテーマ性とキャラクターに大きく共感し、出演を決めた。
「僕は本当にどこまで行っても音楽がすごく大好きなので、音楽を映像で伝えるということをやりたかったんです。元々自分のルーツというかこの世界に興味を持ったのが音楽だったのでこのような形で両方を見せることができてすごく恵まれているし運が良いしありがたいなと思います」と感謝を込めて語った川西。音楽を作る清澄を演じたことで、自身としても新たな発見が多かったといい、「例えば映画の中で海や風の音、鳥の声を録音するシーンがあって調べたんですけど、自然から鳴る音が人間の心地の良い周波数らしくて本来人間が聞くべき音らしいんです。今まで僕が良いと思って聴いていたものや常識が変わったり新しいことに気づけた作品になりました」と嬉しそうに教えてくれた。
◆JO1川西拓実、キーボードとフィンガードラムを猛練習 初ソロ曲が主題歌に
DTMで作曲と演奏に没頭する清澄を演じるにあたってキーボードとフィンガードラムの練習を重ねた。リズム感がずれないことが最も大事なフィンガードラムの呑み込みの早さに指導者も驚いたというが、本人は苦戦したと振り返る。
「まずはキーボードをやったことがなかったので2、3ヶ月くらい前から先生に教わりながら練習を始めました。普段小指を使うことがないので小指を使うのにすごく苦戦しましたね。今回、潮と清澄の関係を表すために、交差しなくても弾けるところをわざわざ交差させて弾くシーンがあるんですけど、そこも右と左の感覚が分からなくなっちゃうこともあって難しくて自主練を繰り返しました」
ミュージックコンセプトを手掛けたYaffleからも、楽器の弾き方や音楽への向き合い方など、演奏シーンへの細やかなアドバイスを貰った。
「JO1の川西拓実としても良いアドバイスをたくさん頂いたんですけど、僕が使っている音楽ソフトを見せて『今これを使っているんですけど良いですかね?』と聞いたら『良いと思う』と教えてくれてすごく自信に繋がりました。役で言うと、弾き慣れていないと格好悪くなっちゃうので、顔の動きとか手の置き方とか細かいところまで全部ご指導頂きました」
そして、清澄として歌う初ソロ曲「surge」(「清澄by Takumi Kawanishi(JO1)」)が主題歌に決定。清澄の発声から歌い方、作る曲調まで普段のJO1での活動とは全く異なるスタイルだが、喉を駆使するのではない歌い方にたどり着くまでレコーディングは長時間に及んだ。
「まず、やっぱり1人は大変だなと思いました。曲自体も長くてJO1のいつもの曲よりゆったりとしていたので喉に負担がかかる感じでした。でも、映画と音楽は繋がっているので感情は音でも伝わると思っていて清澄として歌いたいと思ったので、レコーディング時間は合計10時間くらいかけました。まず歌詞がめちゃくちゃ良いと思ったし、今の言葉で言うとエモい楽曲だと思ったので、それを伝えるために歌い方にはこだわりましたね」
◆JO1川西拓実、アジュールのライブシーンは「泣いちゃいそうで」
川西はJO1としても3月に初めて作詞・作曲すべてをプロデュースした新曲『HAPPY UNBIRTHDAY』をリリース。清澄として経験したことが、音楽家・川西拓実の血となり肉となった。
「こうして作曲の作品に携わることができてモチベーションが上がったというのはあります。この作品に触れたからこそ、音楽に正解はないんだなというのを改めてすごく感じて自分が鳴らしたい音や伝えたいこと、言いたいことをそのまま歌やメロディーに乗せて良いんだなという風に思えるようになりました」
一度は決裂した清澄と再びバンドを組み音楽の楽しさを取り戻すベーシストの陸(柳俊太郎 ※「柳」は正式には旧漢字)と、2人のバンド「アジュール」にゲスト参加するドラマーの岬(円井わん)とのライブシーンは圧巻だ。
「あのシーンは本当に弾いて歌っているんですけど、陸や岬と目が合うと泣いちゃいそうでめっちゃ我慢しました。映像に写っていてそれがまた良かったなと思いました。それが撮影の終盤だったこともあって、『もうできないんだな、楽しかったな』と思いながら、清澄としてこみ上げてくるものがあってすごく楽しいライブでした」
グループのライブで今後、弾き語り歌唱を披露する機会はあるかと聞かれると、「えー!僕は良いかな(笑)」と咄嗟に否定したが、「やっぱり大変ですよね。同時にやることは本当に難しいなと感じたので、もしやるとしたらちゃんと準備して皆さんに披露できたらと思います」とやるのであれば完成度の高いものを準備したいという想いを滲ませた。
◆川西拓実、清澄として過ごした撮影期間
撮影は、映画初主演の川西が役に入りやすいようにと、可能な限り順撮りで実施。新しいチャレンジへの好奇心に溢れ吸収力にも優れた川西が、どんどん成長していくのが誰の目にも明らかだったといい、清澄が感情をあらわにするクライマックスは長時間にわたって撮影されたが、風間監督が引き出す川西の演技がテイクを重ねるたびに真に迫り、観る者の心を激しく揺さぶるシーンとなった。
川西自身も「清澄は無口であんまり言葉にしないタイプだったので、1つひとつの目の表情や動きとか独特な話すときの間を風間監督とお話しながら苦戦しつつ作り上げていきました」と監督と作り上げてきた日々を回顧。さらに、「演じている時間以外の、ふとしたときにも清澄という人に向かい合い過ごしてほしい」という監督のアドバイスを受けた川西は、「この撮影期間中、JO1の活動をするとき川西拓実だった時間はほとんどなかったかもしれないです」と、驚くほどの役へののめり込みっぷりを口にする。
「本当にその期間はあんまり喋らなかったので、『NEWSmile』のリリース期間と被っていて朝のテレビ出演を終えてそのまま撮影することもあったんですけど、切り替えることもなくそのままやっていました。メンバーからも『俳優の顔をしているね』とは言われましたね(笑)。でも全然そのときは意識していなくて自然とそうなっていて、今考えると『そうだな、役者していたんだな』と思います。家に帰っても自分が何をしていたか覚えていないぐらい入っていたなと思います。今までとは全然違う役だったので挑戦でしたし、映画自体初めてだったので撮影の流れがドラマとは全然違ったし、たくさん風間監督に学ばせて頂いて一生忘れない作品になりました」
◆川西拓実、クランクアップでのサプライズに涙
現場では当初人見知りの川西の緊張をほぐすために、桜田が監督と会議をしたことも。共演者との絆はキャラクターたちの絆と重なるように日に日に強くなり、スタッフは「川西さんはカメラの外では、むしろ突っ込み役でムードメイカーでした」と証言する。
そのことを伝えると、「本当に桜田さんのおかげかなと僕は思っています。桜田さんがボケまでは行かないけど可愛らしいことをするときに僕が突っ込んだりしていて、現場でそういう流れができていましたね。柳さんや井之脇(海)さんもJO1の活動のことを聞いて下さったり、お2人からもイジられていました(笑)」と共演者のお陰だと話す。
川西のクランクアップの日は、先にアップしていた桜田と円井がサプライズで駆けつけ、人前では泣かないと決めているという川西の瞳を潤ませたというエピソードを出すと、「ええ!ちょっと!誰が言ったんだ!」と照れた川西。「その日は先にクランクアップされて僕1人が残っていて、夜中だったんですけど終わったらお花を持っていらっしゃったので嬉しくて泣きそうでした。まさか待っていてくれているとも思わなかったですし、めちゃくちゃ良い人やなと思いました。びっくりしたのと終わったんだなという安心感で多分泣きそうになっちゃったのかなと思います」と涙の理由を振り返った。
◆川西拓実、殻を破ってくれたJO1メンバーの行動
原作を読んだときから清澄と自分を重ね合わせた。
「周りを遮断して1人が居心地が良くて『1人で良いや』と思っている部分が僕の過去を見ているようだったんです。今でも1人は好きなんですけど、特に1人が楽だし1人でいたいと思っている時期があったので『昔の僕だ』と思いました」
そんな清澄の音楽をたくさんの人に届けたいと願った潮は、窓ガラスを割るなど破天荒な行動で、清澄を無理やり外の世界へと連れ出す。そんな潮の存在が、川西にとってはJO1のメンバーだった。
「最初は清澄も潮のことを面倒くさそうにうざがっていたのがまさにそうで、僕も結成当初は控え室とかで机があって座っていたら隣の人のお菓子のゴミとかがこっちまで来て『もうやめてよ』みたいに、小さいことも嫌だなと思っていた時期もあったんですけど、今になってはどこまで来ても何でも気にならないです(笑)。昔は『ここまでは俺のライン』『ここから入られるともう嫌』とかパーソナルスペースがしっかりあったんですけど、今考えると『何だったんだろう』と思うくらいです。それが自分にとって大きくプラスだったなと思います。小さいことを気にしたり、自分のことで考え込んじゃったりして閉鎖的になっていたのを、変えてくれたのはメンバーたちでした。あとはスタッフさんや事務所の社長の存在も大きくて本当に寄り添ってくれて窓ガラスを割ってくれたなと思います」
特に川西にとって窓ガラスを割る=殻を破ってくれたメンバーを1人聞くと、鶴房汐恩の名前をあげた。
「皆なんですけど、特に大きかったのは鶴房汐恩。辛いときとかに寄り添ってくれる、人の痛みが分かる優しさや包容力がすごいと思います。ゲームをきっかけに話したり、一緒にいたりするようになりました。何か言葉を掛けるわけじゃなくて、あんまり真剣な話はしないんですけどお互いにずっとふざけ合っています」
一方で川西と同じように内向的な性格で共感し合えるメンバーはいるのかと問うと…「JO1って意外とそういう部分があるメンバーが多くて。それぞれ多分あると思うんですけど、一番近いなと思うのは白岩瑠姫くん。瑠姫くんだけじゃなくてメンバー11人がそれぞれお互い1人になりたいときはなんとなく感じ取れます。あとは悩みごとを人にあまり相談しない方なんですけど、メンバーは相談できるぐらいの関係性になれているので、自分にとってはいるだけで気持ちが楽になってありがたい存在です」
今作は、清澄や潮のように漠然とした不安を抱えている人たちにそっと勇気を与えるような作品になっている。川西が今苦しんでいる人たちへメッセージを送るとしたら───?最後の質問を投げかけると、ゆっくりと考えながら、温かい言葉を紡いでくれた。
「この映画のように突然チャンスが現れるかも分からないので、諦めないで毎日を過ごして欲しいのと、僕は殻にこもることもそれはそれで良いと思うので、無理やり出ようとしないできっかけや出会いを待っても良いと思います」
(modelpress編集部)
◆川西拓実(かわにし・たくみ)プロフィール
1999年6月23日生まれ、兵庫県出身。サバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」によって結成された11人組グローバルボーイズグループJO1のメンバー。JO1は、2023年末は「日本レコード大賞」で優秀作品賞を受賞、「NHK紅白歌合戦」に2年連続で出場。川西はパフォーマンス力はもちろん作詞作曲などの、クリエイティブ面でもJO1を牽引するメンバーの1人で、グループ内では光るセンスの持ち主として多方面で活躍している。個人としてはこれまでドラマ『クールドジ男子』(23・テレビ東京)に主演、7月19日公開の『逃走中 THE MOVIE』にもメインキャストとして出演するなど着実に演技のキャリアを積んでいる。
◆映画『バジーノイズ』
5月3日(金・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ギャガ
【Not Sponsored 記事】
JO1川西拓実、内に閉じこもっていた過去と“窓ガラスを割った”メンバーの行動 役と重なる想い「昔の僕だと思いました」<「バジーノイズ」インタビュー>
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