早まる猛暑と熱中症対策

 暑くなる時期が年々早まっている。「暑くなったら考えよう」と、のんきに熱中症対策をしている場合ではなくなってきた。

 毎年、5月頃から急激に気温が上昇し、熱中症にかかる人が増える。5月は運動会のシーズンでもあり、運動会の練習中に児童生徒が救急車で病院に搬送されるニュースは毎年報じられている。

 消防庁が2023年10月に発表した「熱中症による救急搬送状況」によると、2023年5月から9月までに全国で熱中症により救急搬送された人の累計は9万1467人だった。2023年は梅雨が短く、その後すぐに暑くなったことも影響し、2010(平成22)年の調査開始以来2番目に多い数字となった。

 熱中症の危険性はすでに周知の事実だが、夏はレジャーの季節でもある。外出する機会も増える。そのため、暑さで体調を崩す可能性を考慮して、外出の準備をしなければならない。

 特に子どものいる家庭では、親だけでなく子どもも熱中症から守るアイテムを用意しておく必要がある。外遊びで子どもや大人が暑さで倒れないように気をつけていても、実はその前に暑さにやられてしまうリスクもある。

 太陽が照りつける夏のドライブでは、車内の温度が上がりやすい。エアコンが思うように効かないこともある。目的地までのルートや所要時間、トイレ休憩の場所などを事前にチェックしていても、車内の暑さで体調を崩してしまっては元も子もない。

カーエアコン(画像:写真AC)

効かないエアコンと熱中症

 2024年の夏も猛暑日が多くなることが予想され、ニュースなどでは早くも「昨年以上の猛暑か」と注意を呼びかけている。

 真昼の太陽の下、車に乗り込んで出掛ける際、出発前に涼しい風を浴びようとエアコンを最大設定にすることもあるだろう。しかし、夏の灼熱(しゃくねつ)の太陽は、エアコンの冷却効果を簡単に無効化してしまう。特にフロントガラスから差し込む光は強烈で、真昼の運転ではエアコンをつけていてもハンドルを握る手に暑さを感じることがある。

 運転中にフロントガラスにサンシェードをつけるわけにはいかない。目的地までは運転に集中しなければならないが、エアコンが壊れているのではないかと思うほど、まったく効かないこともある。

 真夏の運転中、ちょっと頭が痛くなったり、気分が悪くなったりした経験のある人は多いのではないだろうか。冷房の効いた環境で熱中症になるなど、思いもよらないことだが、筆者(中山まち子、子育てジャーナリスト)は何度か気が遠くなるような経験をしたことがある。それ以来、真夏のドライブでは熱中症予防のタブレットを食べ、水分補給を欠かさないようにしている。

 季節を問わず安全運転が第一だが、日差しが容赦なく照りつける夏場の運転は特に熱中症対策が重要だ。

猛暑のイメージ(画像:写真AC)

猛暑対策は早めの準備

 2023年の夏は猛暑だった。車内の高温対策にフロントガラス用のアルミシートを買おうと100円ショップに駆け込んだら、季節商品の棚から大小のアルミシートがすでに売り切れていた。

 夏休みに入ってから買いに行ったが遅かった。季節商品は一度売り切れると、同じ商品が再入荷することはほとんどない。結局、カー用品店で購入したのだが、季節商品に関しては

「スタートダッシュ」

が大切だと感じずにはいられなかった。

 100円ショップやホームセンター、カー用品店には、真夏のドライブを快適にするアイテムがたくさんそろっている。手ごろな価格のものから売れていくので、必要なものは6月末までに購入したほうがいい。

 エアコンをつけていても夏場の運転は熱中症の危険があるので、目的地までの距離が長いほど入念な準備が必要だ。

 2023年以上の猛暑が予想される今年は、車での移動でも外出時と同じように熱中症対策をしておくと心強い。

例えば、

・フロントガラスのアルミシート
・飲み物
・後部座席の窓用のサンシェード
・乗車人数分のクールネックリング
・冷却ジェルシート

などは真夏の旅行には欠かせない。

 運転中、運転席や助手席の窓やフロントガラスにサンシェードを取り付けるのは法律違反なので、暑くてもできない。しかし、後部座席の後ろの窓に取り付けることは可能で、車内の温度上昇を防ぐことができる。

 トイレ休憩で駐車場に車を止めたときに数分しか時間がなくても、フロントガラスにアルミシートを貼っておけば暑さ対策になるので、1枚常備しておくといいだろう。

 近年、夏場の熱中症対策として人気のクールネックリングは、価格も手ごろになってきた。サイズも豊富なので、家族の人数分買っておくのもいいだろう。ただし、冷却効果は短時間しか持続しないので注意が必要だ。

車内での水分補給イメージ(画像:写真AC)

家族で楽しむ夏の安全策

 子どもたちにとって夏休みは長期休暇の代表格だが、夏休み開始まであと1か月半を切った。夏休みが近づくにつれ、お出掛けの計画を立てる家族も増えてくる。

 子どもたちはワクワクしながらその日を待っているかもしれないが、21世紀の夏の外出は熱中症対策とセットだ。しかも、暑さは年々厳しくなっている。「元気に出掛けて元気に帰る」を実現するためには、親も持ち物を増やして万全の準備をするしかない。

 エアコンをつけていても、暑すぎる日は涼しさを感じにくい。このような状況で運転する場合は、熱中症の危険性があることを理解しておくことが大切だ。体調が悪くなり始めると、回復するのに時間がかかり、せっかくの予定が台無しになってしまう。そうならないためにも、運転中の熱中症対策をよく考える必要がある。

 繰り返すが、暑さが本格化する頃には、買いたいものが店頭から消えていることがほとんどだ。先手を打って、早めに探し始めることをお勧めする。