昨年12月、鹿児島県十島村悪石島沖を航行中、火災のため自力運航できなくなった村営船「フェリーとしま2」(1953トン)について、気化した燃料をエンジンに送る機器を固定するボルトの一部が、何らかの原因で外れていたことが9日、関係者への取材で分かった。機器から漏れた燃料に引火した可能性がある。

 九州運輸局鹿児島運輸支局などによると、ボルトは燃料の重油を気化させエンジンに送り込む機器を固定する役割がある。火災直後、機関室内に立ち入った乗組員が、ボルト4本が床に落ちているのを発見していた。

 事故原因を調べる運輸安全委員会門司事務所(北九州市)は取材に対し「調査中」としている。

 事故を巡っては、出火直前に乗組員が、エンジン近くで霧状に漂う、重油とみられるものを確認。別の乗組員に伝えようと現場を離れ、戻った時には出火していた。船は約3カ月半運休し、4月12日に運航を再開した。鹿児島海上保安部は火災の予見可能性の有無などを調べている。