湖西浄化センター(大津市苗鹿3)のバラ園のバラが現在、見頃を迎えている。(びわ湖大津経済新聞)

 バラの背景には琵琶湖

 琵琶湖に面したバラ園には90種約700株のバラが咲き、訪れた人の目を楽しませている。今年は5月初旬から咲き始め、中旬に満開となった。バラ園を管理するシルバー人材センターの矢吹嘉三さんは「今年はバラが大きく、花数も多い。よく咲いていて私たちも驚いている」と話す。バラの写真を撮影していた大津市の女性は「バラの花も葉も大きく、生き生きとしている」と喜んだ。

 湖西浄化センターは下水道処理場として1984(昭和59)年に建設された。大津市の北西部約11万人の下水を処理している。1985(昭和60)年に下水を浄化する過程で発生した汚泥を発酵させた堆肥の効果を確認するためにバラの栽培を始めた。

 湖西浄化センターでの下水汚泥の堆肥の実験が終了し、堆肥の使用をやめていたが、2020年度から高島浄化センター(高島市今津町)で製造した下水道リサイクル堆肥(コンポスト)を肥料の一部として使っている。

 矢吹さんは「バラを育てるには太陽と風、水と肥料が必要。ここは日当たりも良く、風通しも良く、浄化センターの処理水をふんだんに水やりに使えるのでバラを育てるのにいい環境」と話す。

 園内には通路がなく、雨が降った後は観賞がしづらかったことから、矢吹さんらスタッフが5年かけてコンクリートの通路を作り、車いすでも観賞できるようにした。ベンチは排水用のU字溝と木の板で手作り。つるバラをはわせるネットは、譲り受けたイノシシ対策の農業用防獣ネットを転用した。琵琶湖岸にバラのアーチを設置し、アーチから琵琶湖と対岸の三上山の写真を撮影できるスポットも用意した。矢吹さんは「愛情を込めて、よそには負けんと思ってやっている」と胸を張る。

 開園時間は9時〜16時30分。入園無料。バラ園の一般開放は今月28日まで。27日・28日は下水道施設の見学会も行う。