大学生・高校生を対象とした「地域材とデジタルツールを学びながらものづくりを実践するプロジェクト」が6月8日・9日、22日・23日、産官学連携拠点の「inadaniSEES(イナダニシーズ)」(伊那市西箕輪)で、4日間の日程で開催される。(伊那経済新聞)

 2日目には参加者たちがレクチャーを受けながら設計図のデータを完成させていく

 同施設で利用者から要望があった掲示板を題材とし、参加者の生徒・学生が実際の商品開発と同じようにヒアリングやリサーチを経て商品企画を行う。商品の仕様などをまとめた設計図のデータも、レクチャーを受けながらパソコンソフトを使い学生が作成。実際に作った設計図を元に加工機を使った部品の切り出し・組み立てを行い、納品できる商品に仕上げるという。

 企画したのは伊那市地域おこし協力隊員の塚田里菜さん。「この施設は信州大学農学部と道路を挟んだ向かいにあるので、学生と会う機会も多い。農学部の学生なので林業に興味を持っている学生に多く出会うが、『森に関わる仕事=林業事業者か公務員』というイメージしか持っていない生徒・学生も多く、もったいないと感じていた。森に関わる仕事の選択肢がもっとたくさんあることを伝えたいと思い今回企画した」と話す。

 「前職で、ものづくりスタートアップにいたこともあり、ものづくりはただ商品を作るだけではなく、顧客のニーズや調査などさまざまな段階を踏んで商品開発を行うことや、コンセプトの大切さ、出来上がった商品を客が使うところまで意識するなど、多くのプロセスを学んできた経験がある。地域の木材を使って商品を作ることも一つの森に関わる仕事の形」と塚田さん。

 講師には同施設のシェアオフィスメンバーでもあるデザインエンジニアの中島慎太郎さんを招く。3Dプリンターなどのデジタル工作機械を駆使したものづくりレシピなども開発しており、デジタルツールに触れたことがない学生も参加できるようにフォローしながら進めていくという。

 「木材は地域材を取り扱う有賀製材所から仕入れて使う。森に関わりたい、地域で仕事をしたいと思っていても具体的に仕事のイメージが湧かないような生徒・学生にもぜひ参加してほしい。デジタルツールも、こういう機会に使ってみることで、できることが増える。商品が出来上がる一連の流れを体験しながら、講師や地域の大人との関わりも楽しんでもらえたら」とも。

 参加費は1人3,000円、全日程参加できることが参加条件(途中参加・退出は担当まで要相談)。