Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔と奈緒が、9月27日(金)より公開される映画『傲慢と善良』でダブル主演を務めることが決定。ティザービジュアルも公開された。

本作は2019年に単行本として発売された辻村深月の同名小説を映像化した恋愛ミステリー。主人公の架は、マッチングアプリで出会った女性、真実と交際を経て婚約。しかし婚約を交わした直後に真実が突然失踪してしまう。架は彼女を探すうちに“知りたくなかった過去と嘘”が明らかに。すべてをさらけ出した2人がたどり着く“一生に一度の選択”を活写する。

現代に生きる人々のリアルな恋愛観や価値観が描かれた原作小説は第7回ブクログ大賞を受賞し、20代、30代を中心に多くの共感を呼び、昨年には2023年最も売れた小説に。発行部数は93万部を突破し話題は広がり続けている(※ジュンク堂書店池袋本店調べ(2023年売上、文芸/文庫新書ジャンル))。そんな話題の尽きない原作小説を、ドラマ「最愛」や現在放送中の月9ドラマ「366日」を手がける清水友佳子が脚本を担当し、『ブルーピリオド』(8月9日公開)が公開待機中の萩原健太郎が監督を務める。

30代になりマッチングアプリで出会った真実と付き合うもなかなか将来を決めない「傲慢」な西澤架を演じるのは、『そして僕は途方に暮れる』(22)で自身のイメージとは真逆のダメ男役を演じて好評を博した藤ヶ谷。この小説に出会ったときから衝撃を受け「一番心に刺さって感銘を受けた小説。もし映像化されるなら絶対に自分が演じたい」という強い意志が伝わり、満を持しての映画化となった。物語について「子どもの頃に置いてきてしまった気持ちが言語化されている。辻村先生が自分のことを知っているのかと錯覚するぐらい」と架の一挙手一投足に共感を重ねた。映画化決定前からテレビや雑誌などで「人生で一番好きな小説」と紹介していたこともあり辻村自身も「藤ヶ谷さんに演じてもらえて嬉しかった」と話す。

また、親の敷いたレールの上で「善良」に生きてきたが婚約直後に謎の失踪をとげる真実を演じるのは、1月期放送のドラマ「春になったら」での好演も記憶に新しい奈緒。彼女もまた「辻村先生の映画に出るのが夢だった」と語る。「ミステリー要素がありながら、人生の選択について見つめ直すことができる作品。誰のどの部分に共感するか、人によって解釈が変わる面白さもある」と熱弁。撮影現場に訪れた辻村自身も「このお二人に架と真実を託せて本当によかった」と絶賛する。藤ヶ谷と奈緒はドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」以来4年ぶり2度目の共演となるが、撮影現場では恋愛観から人生観に至るまで様々なことについて話し合い、人生のすべての価値観を共有したよう。久しぶりの共演に「お互い大人になった気がする」と語る。

架は30代になり、それまで恋愛も仕事も順調だったが、将来についての考え方があわずに恋人にフラれてしまい、マッチングアプリで婚活を始める。「漠然とモヤモヤと感じていた感情が言語化されている」と人生の選択を迫られる世代特有の悩みに藤ヶ谷も大きく共感した様子だ。そんななか、控えめで“善良”そうに見える真実に出会いようやく婚約するも、その直後突然真実が失踪してしまう。両親や昔の友人を訪ねて彼女を探すなかで、架は予想もしなかった“知りたくなかった過去と嘘”に直面していく。真実を演じる奈緒は自身も「周りから善良そうに見られることが多い」そう。「地方出身ならではの恋愛観や価値観にも共感できました」と自分のイメージと重ねて役について語る。

書店でも一際目を引くインパクトで原作を印象付けたカバーイラスト。そのイラストを手掛けた新進気鋭のイラストレーター雪下まゆが、映画化に向けて原作版の「その先の物語」を表現するイラストを描き下ろした。原作版では真実が1人で夜景をぼんやりと見つめている姿が描かれていたが、今回は架と真実の2人で登場。真実が肩にもたれ掛かり同じ方向を見ているようで、2人の目線の先はどこか揃っていない。温かい雰囲気のなかにもミステリアスな要素が秘められているティザービジュアルとなっている。

あわせて場面写真も解禁となり、失踪した真実を探す架の、心配そうにも切羽詰まったようにも見える表情と、原作の表紙を彷彿とさせる真実の表情の対比が、2人のすれ違いを予感させる。

現代社会に生きる20代〜30代の恋愛をミステリーを絡めて描出した人気小説を、実力派キャストと最旬クリエイターが映像化した本作。今後の続報にも注目だ!

■<コメント>

●藤ヶ谷太輔(西澤架役)

「映画化が決まる前から、『人生で1番好きな小説』に挙げていたほどこの作品が大好きでした。辻村さんは僕のこと知っているのかなって思えるぐらい、僕自身の物語のように思いました。『もし映画化するなら絶対に架を演じたい。叶わなければ一生後悔する』と思い、原作の関係者の方へもアプローチしてご縁がつながり本作のオファーをいただきました。僕の俳優人生のなかでも並々ならぬ想いで演じました。まだ気づいていない潜在的な感情に気づくことができ、自分の世界が広がるような作品です。恋愛面だけでなくミステリー要素も織り込まれているとても魅力的な作品です』

●奈緒(坂庭真実役)

「辻村先生の作品に出演したいとずっと思っていたので今回夢が叶って嬉しいです!私自身いいところばかりの人間ではないのですが、昔から『いい子だよね』と善良に見られることも多いので真実とリンクしました。地方出身ならではの恋愛観や価値観にも共感できましたし、私自身30代目前となり人生の選択を考える時期になりましたので、様々な選択が描かれているこの作品に出会えて幸せです。藤ヶ谷さんや監督と結婚や恋愛の価値観についてとことん話し合いました。自分が好きになれなくて蓋をしたい気持ちを『傲慢と善良』という言葉が救ってくれるようなとても希望のある作品です」

●萩原健太郎(監督)

「架は天然なんだけどどこか憎めないキャラクターです。スターなのに誰とでも常にフラットに接する藤ヶ谷さんと重なる部分を感じました。藤ヶ谷さんのコアにあるそういう人間に対する優しさが常に滲み出て、現場でどんどん架の事が好きになりました。奈緒さんは真実というキャラクターの背景をどこまでも深く広く想像力をもって演じてくださいました。撮影前は想像していなかった真実の姿を見る度に真実が自分の想像を超えて魅力的な女性であると気付かされました。原作小説の行間にある架と真実の感情の機微をお二人が繊細に表現してくださったお陰で実写映画化した意味を強く感じました。『傲慢』さと『善良』さは表裏一体で、きっとその狭間を行き来しながら生涯付き合っていかなければなりません。本作が、完璧じゃない他人や自分を受け入れて前に向かって進む一助となることを願っています」

●清水友佳子(脚本)

「発売以来、多くの読者の心を揺さぶり続ける本作の脚色を担うプレッシャーは計り知れないものでした。小説の完成度があまりにも高いため映像作品として再構築するのは大変難しい作業でしたが、世界観を見誤らぬよう何度も原作を読み返し、辻村先生の助言も頂きながら執筆を進めました。完成した本編を見て強く印象に残ったのは、藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんの圧倒的な表現力です。不完全だからこそ愛おしい架と真実がそこにいました。お二人の緻密で繊細なお芝居が、物語に深い奥行きを与えて下さいました。ラブストーリーでもあり人間ドラマでもある本作が、観て下さった皆様に愛して頂ける作品になることを祈っています」

●辻村深月(原作)

「『あ、架と真実がいる』お二人の姿を撮影現場で目にしての、最初の感想でした。ただ、原作の二人はともに一癖も二癖もある人たち。そんな架と真実そのものと言われるのは抵抗もありませんか?と尋ねる私に『いえ!いまこの瞬間は、その言葉がなによりも嬉しいです』と藤ヶ谷さんがこたえ、奈緒さんが微笑みながら頷いてくださった瞬間、ああ、このお二人に彼らを託せて本当によかった、と感じました。何年も前から架役の藤ヶ谷さんが原作を心に深く刺さった本としていろんな場面でお話ししてきてくださっていたこと、真実役の奈緒さんが中学生の頃から私の本を愛情深く読んできてくださったこと、以前から伺って、とても光栄に思い、感謝してきました。映画の完成を心から楽しみにしています」

文/スズキヒロシ