「さんかく窓の外側は夜」などで知られるヤマシタトモコの人気コミックを、新垣結衣、早瀬憩のダブル主演で実写映画化したヒューマンドラマ『違国日記』(公開中)。このたび映画の大ヒットスタートを記念し、早瀬演じる主人公の朝が、学校のミニライブでバンド演奏を披露するクライマックスシーンの本編と、舞台裏のメイキング掛け合わせた特別映像が解禁された。

本作は人見知りの小説家、高代槙生(新垣)と、その姪である田汲朝(早瀬)という対照的な2人の同居譚。2人は理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに家族とも異なるかけがえのない関係を築いていく。昨年公開した『正欲』(23)でこれまでのイメージを軽やかに覆した新垣と、オーディションで選ばれた新人の早瀬。さらに槙生の友人、醍醐奈々役に夏帆、槙生の元恋人、笠町信吾役に瀬戸康史、朝の親友、楢えみり役には『少女は卒業しない』(23)の小宮山莉渚が扮する。メガホンをとったのは、『PARKS パークス』(17)、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)の瀬田なつきだ。


解禁されたのは、早瀬がバンドのボーカルに挑戦した、緊張の撮影舞台裏と完成したライブシーンだ。同シーンが撮影されたのは約1年前の2023年6月25日。早瀬は朝を演じるため、入念にボイストレーニングをして準備してきた。撮影を前に少し顔が強張っているように見える早瀬だが、ひとたびカメラを向けられると「緊張するけど、楽しみです!」と余裕の笑顔を見せる。朝の同級生である三森役の滝澤エリカほか軽音楽部の面々も気合い十分に演奏シーンの本番に挑んだ。

演奏する劇中歌「あさのうた」の作詞作曲を務めたのは橋本絵莉子。橋本からの楽曲提供について瀬田監督は「私が学生時代にチャットモンチーをよく聴いていて、ガールズバンドといえばチャットモンチーでした。脚本を送ってお願いしたところ、快諾していただき、すぐに曲を作って送ってくださったのですが、朝が作る設定には上手すぎる気もして…(笑)。橋本さん自身、高校生の時に初めて曲を作ったとおっしゃっていたので『もう少し高校生の時の初々しい感じを……』とお願いしたら、すぐにそのニュアンスを入れてくださり『あさのうた』が完成しました。本当に素敵な曲です」と制作のエピソードを明かしている。

早瀬自身はもちろん、槙生役の新垣も本編の中の好きなシーンの1つにこの演奏シーンをあげており、朝の等身大の想いが爆発する爽やかなシーンの仕上がりに感動したと話している。

イントロの疾走感、伸び伸びとした心地よい歌声、さらに心の底から楽しんでいるような早瀬の表情すべてが見どころのクライマックスシーン。この週末はぜひこの感動を劇場の大きなスクリーン味わってほしい。

文/山崎伸子