能登半島地震の影響で休校を余儀なくされている石川県輪島市の輪島漆芸技術研修所の卒業式が、およそ2か月遅れて7日金沢市で行われました。一度は作品づくりをあきらめかけた卒業生たちですが、集大成となる作品展もあわせて開かれています。

輪島漆芸技術研修所普通研修過程蒔絵科3年・日野勇輝さん「発災当初、凄惨な輪島の町を目の当たりにし、作業の再開を想像することはできませんでした」

輪島漆芸技術研修所の今年の卒業生は、普通研修過程5人、特別研修過程9人の合わせて14人です。元日の地震で研修所は大きな被害を受け休校となり、卒業生たちは学校間で交流のある金沢美術工芸大学や富山大学などで卒業に向けた作品づくりを続けてきました。

輪島漆芸技術研修所特別研修過程2年・小椋由織さん「受け入れ先の方のおかげで制作を進めることができたので、私は本当に大変じゃなくて周りの方のおかげで制作することができて感謝しかないです」

輪島市出身で普通研修過程蒔絵科で3年間学んだ日野勇輝さんは、震災後金沢学院大学で卒業制作を続けてきました。

日野勇輝さん「火が迫ってきた。大事なものを持ち出すことができなかった」

蒔絵職人の両親の影響を受けこの道に進んだ日野さんは、地震による火災で自宅兼職場が全焼しました。今は、家族4人で小松市内で避難生活を送りながら制作活動に打ち込んでいます。そして、卒業の日を迎えました。

輪島漆芸技術研修所・小森邦博所長「漆芸をあきらめない。作ることをやめない。強い姿勢は前向きであり、励まされ研修所の誇りです」

日野勇輝さん「輪島に生まれて漆器をやってますので、輪島塗ってものは自分にとって大切なものなので、必ず輪島に戻って自分の作品作りの場にしたい」