円相場は1ドル=154円台と約34年ぶりの円安ドル高水準で推移しています。歴史的な円安の影響もあり、外国人観光客が急増していて、3月の訪日外国人数が初めて300万人を突破し、過去最多となりました。

記者:「外国為替市場では、為替介入への警戒感から値動きが乏しく、現在は154円台後半で取引されています」

歴史的な円安ドル高水準が続いています。4月17日も円相場は約34年ぶりの水準である1ドル=154円台を推移しました。専門家はその背景に景気のいいアメリカ経済と日本経済の差が影響していると分析しています。

外為ドットコム 中村勉研究員:「基本的にはアメリカの経済が強すぎるという状況で、そういった所から日米の金利差が拡大して、円安、ドル高、ドル買いが進んでるということです」

歴史的な円安水準が続く中、円安にメリットがある外国人が増えています。3月に日本を訪れた外国人客は推計で308万1600人となり、1カ月間として初めて300万人を突破し、過去最多となりました。政府によりますと外国人の宿泊や買い物などの消費額も伸び、今年1月から3月の速報値で1兆7505億円に上り、3カ月ごとの四半期ベースで過去最高を記録しました

ポーランドからの旅行客:「1年前と比べると日本での旅行は25%割引しているような感覚ですので、私たちにとって今日本に旅行しやすいです」イギリスからの旅行客:「(円安は)私にとってとてもいいことです。安い便に乗れお小遣いが増えたので、もっと多く買い物できますし、もっといろんな文化を体験できます」

さらに、円安を背景に化粧品や宝飾品をはじめとしたインバウンド需要が好調となっています。

記者:「大きな買い物袋を持ってデパートから出てくる外国の方々がいます」

松屋銀座を運営する「松屋」の今年2月までの1年間の決算で、総額売上高が前の年と比べ31.2%増え約1149億円となりました。また、本業のもうけを示す営業益も33年ぶりの最高益となりました。また、高島屋もインバウンド需要で売り上げが好調で、営業利益が33年ぶりに過去最高となりました。

オーストラリアからの旅行客:「日本での買い物はとてもしやすいです。いい服をたくさん買いました」「買い物しましたが、もっと買いたいです」

円安によりインバウンド需要には大きな期待が寄せられますが、一方で、喜べない人も多くいます。先週末から徐々に円安が進んだ円相場ですが、4月17日午後5時時点では、1ドル=154円61銭から63銭と、34年ぶりの円安ドル高水準となっています。

円安が進むと、原油や食料品など、多くを輸入に頼る日本としては、輸入コストが増え、物価高騰が続くことになります。この円安ドル高の要因について、外為ドットコム総研の中村研究員は「日米の金利差」これに尽きるという事なんです。先月、マイナス金利を解除し、0.1%となった日本に対し、アメリカは、5.50%と、大きな差があります。金利が高ければ、景気は悪くなるものなんですが、今のアメリカ経済は、物価高でも好調な状態が続いて、少し前には利下げの話も出ていたんですが、その可能性も徐々に後退しているということです。

一方、日本では、賃金は上昇しましたが、その流れが継続するかは不透明で、これ以上の利上げについても懐疑的で、専門家は、円安ドル高は続くと見ています。また、アメリカの経済が堅調さを維持すると、1ドル=160円ということも考えられるとしています。

こうした過度な円安に対しては、これまで政府は為替介入というものを行ってきました。国が、ドルを売り円を買って、為替の安定化を図るものです。節目の1ドル=155円が迫るなか、介入について4月16日、鈴木財務相は、「行き過ぎた動きに対しては、あらゆる選択肢を排除せず適切に対応する」とコメントしています。

この為替介入について専門家は、「介入は円安のスピードをゆっくりさせるもので、大きな流れは変えられない」としています。では、この円安ドル高への対策はどうすればいいのか。専門家は、現金預金から投資を勉強して、資産を増やしていくのがいいのではないかということです。ある意味では、投資を始めるタイミングとも言えるとしています。