電動・自動化に重点投資

コマツと日立建機の建設機械大手2社の2025年3月期連結業績は、売上高と営業利益が両社とも前期比減収減益となる見通しだ。前期は北米などの旺盛な建機需要と円安の追い風もあって両社とも大幅営業増益となったが、25年3月期は世界の建機需要が一服し、為替の想定レートも1ドル=140―141円と堅めに設定することが響く。一方で研究開発費や設備投資額は、前期より増額。電動化や自動化で他社との差別化を図る。

※自社作成

コマツは25年3月期の世界建機需要を、前期比5―10%減と見通す。日立建機も同5%減の予想だ。「米国大統領選挙に加えて、欧州は金利の高止まりが響く」(日立建機の塩嶋慶一郎最高財務責任者〈CFO〉)。

円高も重しとなる。コマツは想定レートを140円と前期比4・3円高めに設定し、セグメント利益が280億円押し下げられると見る。

需要の伸びが期待できない中、両社とも値上げに引き続き取り組むほか研究開発を強化する。コマツは「建設機械の値上げは厳しくなるが、鉱山機械は今まで値上げを抑えてきたため、24年度は値上げを進める」(堀越健CFO)とする。同社は研究開発費を前期比86億円増の1120億円に増額し、「電動化と自動化に重点投資する」(菱沼聖史執行役員)考え。日立建機も研究開発費を同49億円増の364億円に増やす。

コスト削減もポイントになる。「国内はかなり物流費が上がっているため、工場内滞留をなくすことに取り組んでいる」(コマツの小川啓之社長)。こうした取り組みも今期の業績達成へのテーマになりそうだ。


【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社