日本の端っこ長崎県。その中の長崎市の端っこにある “南部地区”の魅力を伝える活動です。

合言葉は、“はじっこ”から盛り上げる。地域の課題解決にも向き合います。

▼多くの県外客がやってくる「まちの食堂」

長崎市南部にある平瀬町の「民宿・食事処 ひふみ」。

地元で半世紀以上愛されている店ですが、最近は福岡や東京など全国から客が訪れるようになりました。

そのお目当ては。

(店主)

「お待たせしました、“かつのせちゃんぽん” です」

店のオリジナルメニュー。

具だくさんのちゃんぽんの上に、揚げたてのサクサク、ジューシーな”豚カツ”がのっています。

(ひふみ 播磨 重夫会長)

「お客さんとの会話の中で、(ちゃんぽんの上に豚カツを)のせてみたら?という話をもらった」

このちゃんぽんには、別名があるんだそうです。その名も・・・

(ひふみ 播磨 重夫会長)

「カオス飯です」

最近若い人がよく使う『カオス』。“意味不明”、“ごちゃごちゃ”、”ありえない”などの

意味で使われている言葉です。

この“カオス飯”には、仕掛け人がいます。

▼「南部地区」をこよなく愛する住民たちが立ち上がった

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「僕たち南部を楽しいまちにするために、頑張っています!」

地元住民や市の南総合事務所などで働く職員など、6人が中心メンバーとなって結成した『めちゃ南部!』。

長崎市の南部地区を盛り上げたいと、去年5月から活動しています。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「カオス飯というグルメをいろいろ開発したり、“カオスポット”など、『カオス』というワードを使って、みなさんに表現してきた」

企画のディレクターを務めるのは、地元・野母崎地区出身の安達 考紀さん 43歳。

恐竜博物館などを管理・運営する「のもざき恐竜パーク」の所長です。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「南部エリアの魅力を知っている人たちが集まっている。活動を通じて地域の人たちと一緒に楽しんでいる感じ」

▼「軍艦島」「恐竜」「海水浴場」「グルメ」「温泉」魅力が点在する南部地区

南部地区は、(子どもたちに人気の)恐竜博物館がある「野母崎」や、美しい豊かな海に囲まれた「伊王島」など、7つの地区で構成されています。

人口は年々減少し、65歳以上の高齢化率は4割以上と、市内の4つの地区の中で最も高くなっています。

『めちゃ南部!』は、南部地区のグルメや観光スポットなどを、ホームページや冊子で紹介。全国各地から多くの人に来てもらいたいと、魅力を伝える動画でも発信しています。

▼ありえない組み合わせから未開拓のおいしさ発見へ「カオス飯」

その中で話題になっているのが、やはり “カオス飯”。

麻婆豆腐に納豆を合わせた丼や、ピザ生地にカレーライスが乗ったメニューなどを、11の飲食店が提供しています。

“月に平均1000食を!” と目標を掲げましたが、それを上回る1400食の注文を受けているそうです。

「ひふみ」は、半年ほど前から客足が伸び始め、来店客はこれまでと比べて2倍から3倍に増えているそうです。

(ひふみ 播磨 重夫会長)

「日に日に(客数が)増えてくる。食べる人が増えてきた。カオス飯のきっかけで、PRしてもらったおかげ。感謝している」

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「県外、県内から、その店をめがけて来てくれるようになった。目的地となったというのはすごくでかい」

3月、香焼地区で開催された 恒例の“チューリップまつり”でも。

(店員)

「激辛ケバブスペシャル、ヨーグルトソース添え」

カオス飯は大好評でした。

盛り上がる一方で、“課題”も生まれています。

先月開かれた『めちゃ南部!』の会議では。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「イベントなどで声がかかった場合、地域外で出店ができる事業者や商品が少ないと感じた」

そこで今年度は、新たなカオス飯の開発に力を入れることに。

▼新たなスイーツはアジフライがメイン⁉

スイーツ店で試作を進めているのが、長崎のブランド魚「野母んあじ」のフライに、ハチミツ漬けの瀬戸内レモンをたっぷり乗せ、特製の生地で包んだクレープです。

(めちゃ南部!メンバー)

「フライの塩味とレモンの酸味が、全部バランスいい」

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「クレープとアジフライは “え−っ” と思ったけれど、合う」

(創作したパティシエ 小川 兼太さん)

「カオスでしょ」

今年度、新たに10品を増やすことにしていて、このクレープは近いうちに提供が始まる予定です。

(スリール・スリール 小川 兼太さん)

「挑戦していって自分のお店も含めて、南部を盛り上げたい」

▼「人口減少」「空き家問題」など自治会とともに解決模索中

『めちゃ南部!』は、まちの課題解決にも取り組みます。

(野母崎連合自治会 小林 善則 会長)

「ここが空き家になった」

南部地区には、約800軒の空き家があり、この解消や移住者を増やそうと、空き家の情報やリノベーション会社を紹介するサイトを立ち上げる予定です。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「資産価値だけでなく、(まちの)思い出ごと、次の人に引き継ぐような仕組みを作りたい」

地元の自治会も、期待を寄せています。

(野母崎連合自治会 小林 善則 会長)

「自然環境もいいし、人情も豊かなまち。1人で、2人でも住んでもらえるようなことになればいい」

▼5月5日にイベント開催!「今後につなぐ企画に」

4月、長崎市の繁華街 “浜町アーケード” に『めちゃ南部!』の安達さんの姿が。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「浜町アーケードで、南部エリアを体験できるというのは初めての試みになるのでは」

5月5日こどもの日に浜町アーケードで、南部地区をアピールするイベントを開催することになりました。

「カオス飯」の販売や、特産品を集めた物産展、恐竜のワークショップなど、魅力を詰め込んで発信したいと意気込んでいます。

(めちゃ南部!実行委員会 安達考紀ディレクター)

「めちゃ!南部(の活動)自体は、ずっと続いていくものだと思っている。実行委員会のみんなができることを使いながら、“衣・食・住”を楽しめる、つくれる組織になっていけばいい」

本格的な取り組みから1年。

これからも『めちゃ南部!』が中心となって、“はじっこ” から長崎を盛り上げていきます。